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コラム

高齢者の白内障手術のリスクとは?気になるリスクについて詳しく解説!

2025年06月02日

高齢者が白内障手術を受ける場合には、どのようなリスクがあるのでしょうか。

白内障が進行し日常生活に支障がある場合は、視力回復のための手術が必要。

安全性の高い手術ですが、高齢者の場合は、特有の事情によるリスクがあります。

この記事では、白内障の一般的な治療法・高齢者が白内障手術を受ける場合のリスク・受けない場合のリスクを解説します。

医師から白内障手術をすすめられた高齢の方に、おすすめの内容です。

監修者 佐藤琢紀(サトウ タクノリ)

監修者:佐藤琢紀(サトウ タクノリ)

銀座数寄屋橋クリニック院長

2004年東北大学医学部卒業後、国立国際医療センターで研修医として入職。2019年には国立国際医療研究センター国府台病院救急科診療科長に就任。18年間救急医として約36,000人の診療経験を通じ、現行医療の限界を認識。元氣で楽しい人生を歩むための戦略の重要性を感じる中、ストレスフリー療法と出会い、その効果に感銘を受ける。これを多くの人に広めるべく、2024年4月より銀座数寄屋橋クリニックでストレスフリー療法に特化した診療を行っている。

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白内障とは一体何か

白内障とは一体何か

白内障とは、加齢・紫外線・糖尿病などにより、目の水晶体が混濁する病気です。

水晶体は目の中でカメラのレンズのような役割を担い、外からの光を集めてピントを合わせています。

白内障を発症すると、水晶体が濁ることで光が通りにくくなり、ピントの調整機能が低下。周囲がかすんで見えるなど、見え方に影響が出ます。

白内障の多くは加齢が原因。早い人では40歳前後で発症し、80歳を過ぎるとほぼすべての人に症状が認められます。

白内障の治療法

白内障を発症した場合には、一般的にどのような治療が行われるのでしょうか。

白内障の初期の段階では、進行抑制目的で点眼薬による治療が行われます。

著しく進行した場合、視力回復目的で手術を行い、濁った水晶体を眼内レンズと交換。

ここでは、白内障の治療法について詳しく解説します。

点眼薬

白内障の症状が日常生活に支障がない初期段階では、点眼薬による治療が基本です。進行を抑えることが目的。水晶体の濁りがなくなるわけではない点に注意しなければなりません。

使用される点眼薬は、主に以下の2種類です。

① ピレノキシン製剤

キノイド物質の水晶体タンパク質への結合を阻害することで、白内障の進行を抑えると考えられています。

② グルタチオン製剤

白内障の進行により、減少したグルタチオンを補います。グルタチオンは水晶体内の抗酸化物質。酸化によって生じる不溶性タンパク質の増加を抑えます。

手術

白内障が進行し生活に支障がある場合は、手術が行われます。

濁った水晶体の代わりに、人工水晶体である眼内レンズを挿入する方法です。

一般的に局所麻酔で痛みはほとんどなく、30分以内と短時間かつ安全な手術。

手術の方法として、超音波乳化吸引術・レーザー白内障手術が挙げられます。

① 超音波乳化吸引術

まずは角膜を切開。続いて、器具を挿入します。水晶体を破砕・吸引した後、水晶体嚢の中に眼内レンズを挿入・固定します。

② レーザー白内障手術

基本的な流れは、超音波乳化吸引術と同じです。コンピュータ制御のもとで、角膜切開・前嚢切開・水晶体核分割を行います。より精密で安全な手術が可能。

高齢者の白内障手術のリスク

高齢者の白内障手術のリスク

現在の白内障手術の安全性は、昔と比べて格段に高くなりました。

それでも目にメスを入れることから、術中・術後の合併症リスクはゼロではありません。

手術のトラブルは、「手術後の見え方が期待どおりでなかった」などの不満がメインです。

高齢者の白内障手術では、特有の事情により、若年者と比べてややリスクが高くなることがあります。

以下、具体的なリスクを挙げて解説します。

白内障手術の難易度が上がる

高齢者の場合は、白内障手術の難易度が上がる場合があります。

白内障手術では、水晶体の前嚢切開が容易である・水晶体嚢を支えるチン小帯が健常であることが重要。

高齢者の白内障手術の問題として、以下の2点が挙げられます。

① 前嚢切開が難しい

高齢者は、水晶体核が硬く、大きくなっていることが多いです。

核の硬度が高いと、後嚢破損・チン小帯断裂が生じやすく、手術に時間がかかる場合があります。

② チン小帯が脆弱である

高齢者は、チン小帯が脆弱になっていることが多いです。

偽落屑症候群の罹患率が高く、その25%にチン小帯脆弱・ 断裂を伴います。

チン小帯が脆弱な場合、特殊な技術を要する手術が必要。

全身状態によっては手術を受けることが難しくなる

高齢者は全身疾患の合併率が高く、白内障手術を受けることが難しくなる場合もあります。

白内障手術を受けることが難しい一例として、以下の場合が挙げられます。

  • 脊椎の疾患などで仰臥位維持が難しい
  • 神経系の疾患などで身体および眼球の静止状態保持が難しい
  • 認知症

意思疎通ができ、本人が手術を希望している場合は、局所麻酔による手術が可能。

意思疎通が難しい場合は、全身麻酔が必要です。

心疾患などの持病により全身麻酔が難しい場合は、手術ができません。

高齢者が白内障手術を受けないことで生じるリスク

高齢者が白内障手術を受けないことで生じるリスク

高齢者の場合、白内障手術によるリスクへの配慮も必要ですが、手術を受けないことによるリスクも大きいです。

ここでは、高齢者が白内障手術を受けないことで生じるリスクを解説します。

認知症

白内障の手術を受けないことで、認知症のリスクが高くなる可能性があります。

以下、視力や白内障手術と認知症リスクとの関係を調査した2つの論文の結果です。

  • 視力の悪い人は、視力のいい人の約2倍認知症のリスクが高かった
  • 白内障の手術を受けた人は、認知症のリスクが29%低かった

人は脳に送られてくる情報のうち、80%以上を目から得ています。

白内障を放置すると、目から入る情報が制限。脳の情報処理機能が衰え、認知機能に悪影響を及ぼす場合があります。

転倒

白内障の手術を受けないことで、視界が悪くなってつまずきやすくなり、転倒のリスクが高まります。

アメリカでの調査によると、両目が白内障の場合の転倒リスクは1.8倍とされています。

高齢者の場合、転倒からの骨折により、寝たきり状態になるリスクがある点に注意が必要。

車の運転にも危険が伴います。白内障の人の交通事故リスクは、白内障がない人の2.5倍とされています。

転倒のリスクを最小限に抑えるためにも、手術を一度検討することをおすすめします。

白内障の早期発見・治療が重要

白内障の早期発見・治療が重要

白内障を早期に発見できれば、点眼薬による治療などで進行を抑制できます。

白内障の手術は短時間で安全性が高いとはいえ、高齢者の場合には前述のようなリスクもあり、心身への負担もかかります。

加齢による白内障の場合、初期症状を自覚しにくく、気づいた時には手術が必要なほど進行している場合も多いです。

見え方に違和感を感じた際は、早めに眼科を受診しましょう。40歳を過ぎたら、定期的に眼科検診を受けることをおすすめします。

全身のコンディションを整えるストレスフリー療法

全身のコンディションを整えるストレスフリー療法

一般的に、白内障の初期の場合、進行を抑えるために点眼薬での治療が行われます。

近年、全身の血流・自律神経を整え、目のコンディションを根本からサポートするストレスフリー療法が注目されています。

ストレスフリー療法とは

ストレスフリー療法とは、身体の特定の6点に直径1cmの導子をつけ、遠赤外線を30~60分照射する温熱療法です。

ストレスホルモンの低減・血流の大幅な増加といった効果が確認されています。

高血圧・糖尿病・認知症・不眠症・冷え症など、さまざまな病気の症状を改善する効果が期待できます。

白内障の改善にも期待

眼球の中を流れる房水は、角膜・水晶体・硝子体などの組織に栄養分を与える役割を担っています。

全身の血流を良くし、眼球中の房水の循環も高めることで、初期の白内障の改善効果が期待できます。

まとめ

高齢者の白内障手術のリスクとは?気になるリスクについて詳しく解説!のまとめ

今回は、高齢者の白内障手術のリスクについて解説しました。

  1. 初期段階では点眼薬による治療を行い、進行した段階では視力回復のために手術を行う
  2. 高齢者の白内障手術のリスクは、手術の難易度が高い場合がある・全身状態によっては手術ができない
  3. 高齢者が白内障手術を受けないことのリスクは認知症・転倒
  4. 初期段階の治療法として、血流改善効果のあるストレスフリー療法にも期待

白内障手術には、さまざまなメリットがあります。

医師とよく相談し、リスクなどを踏まえた上で、手術を受けてください。