白内障は、目の水晶体が濁る病気です。

初期段階は点眼薬で進行を抑えますが、進行した段階では視力回復のため手術が必要。

毎年多くの人が手術で視界を取り戻していますが、視力回復しないケースもあります。

この記事では、白内障の手術後に視力回復しない原因・初期段階で効果が期待できるストレスフリー療法について紹介します。

白内障とは一体何か

白内障とは、加齢・紫外線・糖尿病などにより、目の水晶体が混濁する病気です。

水晶体は、目の中でカメラのレンズのような役割を担い、外からの光を集めてピントを合わせています。白内障を発症すると、水晶体が濁ることで光が通りにくくなり、ピントの調整機能が低下。

結果、目のかすみ・光がまぶしく感じやすくなる・視力低下・ものが二重に見えるなどの症状が現れます。

ある程度進行した場合でも、手術により視力を回復できる可能性が高いです。初期段階は進行抑制目的で点眼薬による治療を行うのに対し、、進行してからは濁った水晶体を眼内レンズと交換する手術を行います。

白内障の手術後に視力回復しない原因

白内障の手術では、混濁した水晶体を取り除き、 人工水晶体である眼内レンズを挿入。短時間かつ安全性の高い手術で、術後は1ヶ月以内に視力が回復することが多いです。

さまざまな原因で手術後に視力回復しない場合もあります。

ここでは、白内障の手術後に視力回復しない原因について解説します。

網膜などの病気

1つ目の原因は、網膜などの病気です。

手術前の視力低下の原因が、白内障のみであれば、手術後に視力の回復が期待できます。

白内障とともに、加齢黄斑変性などの網膜の疾患・緑内障による視神経の障害がある場合などもあります。

白内障の手術後も、緑内障などの疾患による見えにくさが残る点に注意が必要。

加齢黄斑変性は、加齢により網膜の中心にある黄斑部に障害が生じる病気。ものが歪んで見えたり視力が低下したりします。

緑内障は、視神経の障害により視野が狭くなっていく病気。欠損した視野を元に戻すことはできません。

手術に用いた眼内レンズが適用できていない

2つ目の原因は、眼内レンズが適用できていないことです。

眼内レンズには、ピントが合う1点がくっきり見える単焦点眼内レンズと、手元から遠くまでピントが合いメガネの使用頻度を減らせる多焦点眼内レンズがあります。

単焦点眼内レンズを選んだ場合、ピントが合わない距離を見る際はメガネが必要。このことを事前に理解していないと、手術に不満が残る場合がある点に注意しなければなりません。

多焦点眼内レンズには、一見多くのメリットがありますが、レンズの特性などから以下のような人に適していないです。

• ほかの目の病気や強い乱視がある人
• 見え方に慣れるまで長期間かかるのが耐えられない人
• 鮮明な視界を求める人
• 夜間の運転や屋外での作業が必要な職業の人

手術の負担

3つ目の原因は、手術の負担が大きかったことです。

現在、白内障手術は安全かつ短時間で終了し、入院なしの日帰りも可能な手術になりました。

患者の身体の状態や白内障の進行度合いなどにより、手術の難易度が高くなることもあります。

術後の視力回復が遅れるケースとして、以下の場合が挙げられます。

• 手術時間が長引いた場合
• 合併症が生じた場合

難易度の高い手術は、著しく白内障が進行した状態・チン小帯脆弱・散瞳不良・角膜混濁・患者の認知機能の著しい低下などです。

術中合併症には、後嚢破損・核落下・虹彩脱出・創口熱傷などがあります。これらが生じると、追加の手術が必要です。

狭隅角の治療を目的とした手術

4つ目の原因は、狭隅角の治療を目的とした手術の場合です。

眼内には、目の組織に栄養分を届ける房水が循環しています。房水は毛様体で産生される体液。虹彩の後面から前面に房水が流れた後、隅角の線維柱帯を通過し、シュレム管から眼外に出ていきます。

隅角のスペースが狭くなる狭隅角の状態では、眼圧が急激に上昇し、失明に至る場合もある急性緑内障発作の発症リスクがあります。

狭隅角の治療法のひとつが白内障手術。水晶体の厚みにより、虹彩が前方に押され隅角が狭くなることがあります。眼内レンズは水晶体に比べて薄いため、虹彩の前後の空間が確保され隅角が広がるのです。

この手術の目的はあくまで隅角を広げることなので、手術後に視力回復を実感できない場合がある点に注意が必要。

乱視

5つ目の原因は、乱視が手術後にも残ることです。

水晶体に原因がある水晶体乱視は、手術により水晶体を眼内レンズに入れ替えることで改善できます。角膜のゆがみなどが原因の角膜乱視が一定以上ある場合に、乱視の矯正も可能なトーリック眼内レンズを選択。

トーリック眼内レンズを入れたにも関わらず、乱視が残る場合があります。正しい位置にトーリック眼内レンズが入っていれば、乱視を軽減する効果を発揮するものの、まれに位置がズレる場合がある点に注意が必要です。ズレた場合、ズレを調整する手術が行われます。

眼内レンズがズレていないのに乱視が残る場合・水晶体嚢が脆くなっていて眼内レンズを入れられない場合は、メガネやコンタクトレンズの使用が必要です。

白内障の手術後の見え方に個人差がある

白内障の手術後の見え方・視力の回復には、個人差があります。

手術後は、一般的に1ヶ月以内に視力が回復するといわれています。手術後すぐに見える人がほとんどですが、術後は瞳孔が広がるため違和感を覚える人も多いです。また、自分の目と眼内レンズでは焦点の合わせ方が異なるため、慣れるのに時間がかかる人もいます。

視力が安定するまでは、医師の指示に従い日常生活で無理をしないようにしましょう。普段通りの生活に戻るまで1ヶ月程度かかると考えてください。

メガネやコンタクトレンズは、視力が回復し安定する2ヶ月以降に作製することが望ましいとされています。

全身のコンディションを整えるストレスフリー療法

白内障の初期には、一般的に進行を抑えるため点眼薬での治療が行われます。

近年、全身の血流・自律神経を整え、目のコンディションを根本からサポートするストレスフリー療法が注目されています。

ストレスフリー療法とは

ストレスフリー療法とは、身体の特定の6点に直径1cmの導子をつけ、遠赤外線を30～60分照射する温熱療法。

ストレスホルモンの低減・血流の大幅な増加などの効果が確認されています。

高血圧・糖尿病・認知症・不眠症・冷え症など、さまざまな病気の症状を改善する効果が期待できます。

白内障の改善にも期待

眼球の中を流れる房水は、目の組織に栄養分を与える役割を担っています。

ストレスフリー療法により、全身の血流を良くし、房水の循環も高めることで、初期の白内障の改善効果が期待できます。

まとめ

今回は、白内障の手術後に視力回復しない原因を詳しく解説しました。

1. 原因は、網膜などの病気・眼内レンズの不適応・手術の負担・狭隅角の治療目的・乱視
2. 手術後の見え方・回復には個人差がある
3. 初期段階の治療法として、血流改善効果のあるストレスフリー療法にも期待

一般的に、白内障手術により視力回復することの方が多いです。

術後の見え方が不安な方は、担当医と納得のいくまで相談し、手術を受けるかどうか判断してみてください。