白内障は目の水晶体が濁る病気です。

加齢・糖尿病・薬の副作用・外傷など、白内障を発症する原因は多岐にわたります。

原因などに配慮し、白内障の治療を進めることが重要。

今回の記事では、白内障についてさまざまな観点から分類し、それぞれの種類について詳しく解説します。

白内障の種類を知りたい方・白内障の発症リスクが高くなり始める40代以上の方に、おすすめの内容です。

白内障の大分類

白内障は、先天性白内障・後天性白内障の2種類に大きく分類されます。

先天性白内障は生まれつき発症している白内障です。

後天性白内障は加齢・外傷などにより、発症する白内障。

まずは、先天性白内障・後天性白内障について詳しく解説します。

先天性白内障

先天性白内障は生まれつきの白内障。

視覚刺激が遮断されることにより、視力の発達が遅れる場合があります。

早期発見・早期治療が重要です。

主な原因は以下のとおり。

• 遺伝
• 胎内感染
• その他の疾患

先天性白内障の25％は遺伝が原因とされています。

家族歴があれば、発症率が高くなると考えられているため、注意しましょう。

原因となる遺伝子は複数あります。

母体内での風疹・トキソプラズマ・サイトメガロウイルスなどへの感染も、先天性白内障の原因。

ガラクトース血症などの代謝性疾患・その他の全身疾患などと合併して発症する場合もあります。

後天性白内障

後天性白内障は生まれつきのものではなく、加齢・外傷などの影響から発症する白内障です。

加齢白内障・若年性白内障・糖尿病白内障・外傷性白内障・アトピー性白内障・薬剤性白内障などが挙げられます。

これらについては、後の「白内障の種類を発症原因別に解説」のセクションで詳しく解説します。

先天性白内障と同じく、早期発見・早期治療が重要。

白内障の種類を濁りの状態別に解説

白内障を濁りの状態別に分けると、以下のとおりです。

• 皮質白内障：水晶体外側の皮質部分から濁り始める白内障
• 核白内障：水晶体中央の核部分から濁り始める白内障
• 後嚢下白内障：水晶体後ろの後嚢が接する部分から濁り始める白内障

ここでは、白内障の種類を以下のように水晶体の濁りの状態別に解説します。

皮質白内障

皮質白内障とは、水晶体周辺の皮質が濁る白内障。

最も多いタイプです。

加齢白内障の多くで見られます。

水晶体の外側から中心に向かって徐々に濁っていきます。

濁りが中心部に到達したタイミングで視力低下を実感。

初期の場合、自覚症状がほぼないです。

以下に当てはまる場合、皮質白内障を発症している可能性があります。

• 夜間の運転で対向車のヘッドライトがまぶしい
• ものが二重に見える
• 天気が良い日の昼間はまぶしくて見えにくい

核白内障

核白内障とは、水晶体の中央にある核の部分から濁りが生じる白内障です。

中心から徐々に黄色から茶色へと濁るため、進行するまで症状を自覚しにくい点が特徴。

濁るだけではなく、核が硬くなります。

近視が進行し、手術の難易度が高くなる点に注意しましょう。

以下に当てはまる場合、核白内障を発症している可能性があります。

• 視界が黄色または茶色っぽく見える
• 最近、急激に近視が進んだ
• 老眼が治ってきたように感じる
• ものが二重三重に見える

後嚢下白内障

後嚢下白内障とは、水晶体の後ろから濁る白内障。

糖尿病白内障・アトピー性白内障・薬剤性白内障などで多く見られます。

水晶体の中央部分から濁り始めます。

早い段階から視力低下を実感しやすく、進行が早いです。

若年層でも発症しやすい点も特徴の一つ。

以下に当てはまる場合、後嚢下白内障を発症している可能性があります。

• 最近視力が急激に低下した
• 天気が良い日の昼間はまぶしくて見えにくい

白内障の種類を発症原因別に解説

白内障の種類を発症原因別に分けると、以下のとおりです。

• 加齢白内障
• 若年性白内障
• 糖尿病白内障
• 外傷性白内障
• アトピー性白内障
• 薬剤性白内障

加齢・紫外線・喫煙・糖尿病・アトピー性皮膚炎・外傷などが、白内障の原因。

白内障手術が原因となる後発白内障・他の目の疾患と併発する併発白内障などもあります。

ここでは、白内障の種類を発症原因別に解説します。

加齢白内障

白内障の原因の90％以上が加齢。

早い人では、40代から加齢白内障に発症します。

60代では、66～83％。

80代以降では、ほぼ100％の人で、初期症状が認められたデータがあります。

長年の紫外線曝露などの外部刺激により、水晶体のタンパク質が酸化することなどが原因と考えられています。

加齢白内障は、水晶体の周囲から中心に向かって徐々に濁っていく皮質白内障が一般的。

初期には、自覚症状が気付きにくい場合が多いです。

若年性白内障

白内障は高齢者に多く見られる病気ですが、20～30代で発症する場合もあります。

若年性白内障の主な原因は、以下のとおりです。

• 紫外線
• ストレス
• 偏った食事などの生活習慣の乱れ
• 喫煙
• 飲酒
• 糖尿病
• アトピー性皮膚炎
• 外傷

このうちの、紫外線を例に、白内障との関係を説明します。

地上に届く紫外線には、UV-AとUV-Bがあります。

白内障の原因となるのは、UV-B。

UV-Bは日焼けの主な原因です。

水晶体に活性酸素を発生させることにより、タンパク質を酸化させます。

結果、白内障を引き起こすといわれています。

白内障を予防するためには、UVカットのサングラス着用などの対策が必要。

糖尿病白内障

糖尿病の合併症として、糖尿病白内障が引き起こされる場合があります。

若い年代でも発症率が高く、進行しやすい点が特徴です。

血糖値のコントロールが不安定になると、糖アルコールの一種ソルビトールが水晶体の中に蓄積。

結果、糖尿病白内障の原因になると考えられています。

糖尿病網膜症のリスクもあるため、注意が必要です。

糖尿病の方は、眼科の定期的な受診をおすすめします。

外傷性白内障

外傷性白内障は外傷により、発症する白内障です。

外傷には、以下のものが挙げられます。

• 鈍的外傷：目の周りに物をぶつけた際などに生じる外傷
• 穿孔性外傷：異物が角膜を貫通し、水晶体を損傷する外傷

年齢に関わらず、発症するリスクがあるため、注意が必要。

急速に進行する症例が多い反面、発症までに数年かかる場合もあります。

目を強くぶつけたり、ガラス片などが入ったりした場合、目立った症状が現れていなくても眼科を受診しましょう。

経過観察が重要です。

アトピー性白内障

アトピー性皮膚炎の合併症として、アトピー性白内障があります。

アトピー性皮膚炎の多くは乳児期に発症。

10～15年後に、白内障の症状が現れる場合が多いです。

アトピー性白内障は若い世代に多く認められます。

水晶体の中心部から混濁することが多く、進行しやすい点も特徴。

アトピー性皮膚炎が白内障の原因となるメカニズムは、十分には解明されていません。

治療に使用されるステロイド剤の副作用・かゆみにより目の周りをこすったり、叩いたりすることが原因ではないかと考えられています。

薬剤性白内障

ステロイド剤はアトピー性皮膚炎・アレルギー疾患の治療など、幅広い用途で使用されている薬。

長期にわたって大量に使用すると、薬剤性白内障を発症するリスクが高くなるといわれています。

進行しやすい点も特徴です。

ステロイド剤には、目薬・塗り薬などさまざまなタイプがあります。

なかでも、全身疾患や喘息などで使用される内服薬・吸入薬が、白内障の原因になりやすいとされています。

ステロイド剤の副作用で白内障を発症するメカニズムは、十分には解明されていません。

白内障の種類を進行期別に解説

白内障は進行するにつれて、視界の見え方・日常生活への影響などが変化します。

進行期別に分類すると、以下の4種類です。

• 初期白内障
• 中期白内障
• 成熟白内障
• 過熟白内障

過熟白内障になると、失明する場合があります。

ここでは、白内障の種類を進行期別に解説します。

初期白内障

初期白内障は、初期段階の白内障。

水晶体の皮質が濁り始める段階です。

視力の低下・目のかすみなどの自覚症状は、ほぼありません。

日常生活に支障がないため、白内障を発症しているかどうかを見極めることが困難。

他の病気などで眼科を受診した際、偶然発見されるケースが多いです。

白内障の進行を抑えるため、点眼薬による治療をおこないます。

進行抑制目的であり、濁り始めた水晶体が元に戻らない点に注意しましょう。

中期白内障

中期白内障は、水晶体の中心部付近にまで濁りが進行している段階の白内障です。

目がかすんだり、日中や明るい室内でまぶしく感じたりと、自覚症状が現れます。

生活に支障をきたし始めます。

一般的に手術を検討する段階。

手術では、濁った水晶体を取り除き、人工水晶体である眼内レンズを挿入します。

遠近どちらかにピントが合う単焦点眼内レンズ・遠近どちらにもピントが合う多焦点眼内レンズがあります。

痛みは少なく、短時間かつ安全な手術。

視力回復にかかる期間も、昔と比べて短くなっています。

手術後は医師の指示に従い、一定期間にわたって点眼薬（目薬）を使用します。

成熟白内障

成熟白内障は、水晶体の濁りが全体に広がった段階の白内障です。

周りの人が見ても、白く濁っていることがわかります。

視力低下・まぶしさ・目のかすみなどの症状が顕著に現れます。

日常生活に大きな支障をきたす段階のため、手術が必要。

白内障が進むと、手術の難易度が上がります。

術中合併症のリスクも高くなるため、他の目の組織にダメージを与えるリスクも高くなっています。

中期白内障の段階で、手術を受けることが重要。

過熟白内障

過熟白内障は、白内障における最後の段階です。

水晶体全体が濁るだけでなく、硬くなって急激に視力が低下します。

濁りの色は白から茶色に変化し、急性緑内障発作などによる失明のリスクが高まります。

手術に伴う合併症のリスクが高い状態。

水晶体核が硬いと、前嚢切開が難しいです。

水晶体嚢を支えるチン小帯が脆弱になっている場合、通常よりも手術に時間がかかります。

手術後に視力が元の状態に戻らない可能性がある点に注意しましょう。

白内障の対策を普段から行うことが重要

白内障を発症するリスクを下げるためには、普段からの対策が重要です。

白内障の多くは加齢が原因ですが、生活習慣が関係することもあります。

食事などの生活習慣を改善しつつ、40歳を過ぎたら定期的に眼科検診を受けましょう。

近年、血流・自律神経を整え、全身のコンディションを根本からサポートするストレスフリー療法が注目されています。

ストレスフリー療法とは、身体の特定の6点に直径1cmの導子をつけ、遠赤外線を30～60分照射する温熱療法。

ストレスホルモンの低減・血流の大幅な増加などの効果が確認されています。

高血圧・糖尿病・認知症・不眠症・冷え症など、さまざまな病気の予防・改善効果が期待できます。

ストレスフリー療法で、全身の血流とともに房水の循環もサポート。

眼球の中を流れる房水は、目の組織に栄養分を与える役割を担っています。

白内障の予防・改善効果も期待できます。

まとめ

白内障の種類は以下のとおりです。

• 大分類：先天性白内障・後天性白内障
• 濁り方別：皮質白内障・核白内障・後嚢下白内障
• 原因別：加齢白内障・若年性白内障・糖尿病白内障・外傷性白内障・アトピー性白内障・薬剤性白内障
• 進行期別：初期白内障・中期白内障・成熟白内障・過熟白内障

普段から、白内障の対策を意識することが重要。

目に違和感を感じた際、眼科に受診しましょう。

ストレスフリー療法も目のコンディションを整える方法です。