外からの衝撃が原因で白内障になる外傷性白内障。

白内障は50代以降に発症するイメージですが、外傷性白内障は10代、20代でも十分可能性がある病気です。

外傷性白内障とはどのような病気か原因や症状、治療法を紹介します。

外傷性白内障とは一体どのような病気なのか

外傷性白内障は交通事故・ボールの衝撃などにより、水晶体に傷がつき、白濁する病気です。

視力低下や景色がかすむなどの症状があり、若年層での発症が多いといわれています。

必ずしも目に衝撃を受けたあとすぐに症状が現れるわけではありません。

数年後、数十年後に発症する場合もあるため注意が必要です。

外傷性白内障の原因

外傷性白内障は何が原因で発症するのか。

鈍的外傷と穿孔性外傷の2つに分けて解説します。

鈍的外傷

外からの強い衝撃により、外傷性白内障を発症する場合があります。

水晶体を支えるチン小帯が弱まって切れたり、水晶体を覆う水晶体嚢に亀裂が入ったりします。

鈍的外傷の例は次の3つです。

• ボールが直接目に当たった
• 交通事故で目をぶつけた
• 転んで目を角にぶつけた

鈍的外傷による外傷性白内障はすぐには発症せず、徐々に進行する点が特徴。

目に衝撃を受けたときは、違和感がなくても眼科を受診してください。

穿孔性外傷

穿孔性外傷とは、目に強い衝撃を受けて眼球が破裂する外傷です。

鈍的外傷に比べてかなり強い衝撃で以下のような例があります。

• 刃物が目に刺さった
• ペン先が目に刺さった
• 交通事故で目に鉄やプラスチック破片が刺さった

穿孔性外傷は異物が角膜を突き破り、水晶体まで損傷しています。

白内障だけでなく、他の感染症にかかる可能性もあるのでただちに処置を受けてください。

外傷性白内障の症状

外傷性白内障を発症すると、

• 視力の低下
• 視界がぼやける
• 光がまぶしく感じる
• 黒目が白っぽくなる

などの症状が現れます。

水晶体が白濁しているため、視界が遮られたり、光が散乱したりして視界に変化が出ます。

外傷性白内障は症状が急激に進行することが多いですが、必ずしも目に衝撃を受けた直後に発症するわけではありません。

チン小帯が衝撃で弱くなってから数年後、十年後に切れて白内障を発症する可能性もあるので注意してください。

外傷性白内障の後遺障害

外傷性白内障は交通事故のような強い衝撃を受けると、視力障害・羞明などの後遺障害を発症することがあります。

それぞれどのような症状か解説します。

視力障害

交通事故で目に破片が刺さって眼球が傷つくと視力低下につながります。

角膜に穴が空いた状態を角膜穿孔外傷と呼びます。

角膜は虹彩や水晶体を保護する組織。

角膜に穴が空くと、硝子体・水晶体・網膜などの組織が損傷し、さまざまな合併症を生じます。

合併症によって視力低下や涙が止まらなくなることがあります。

羞明

羞明とは光がいつもよりまぶしく感じたり、光がさすと目の周辺が痛くなる症状をいいます。

水晶体の白濁化によって光が散乱するのが原因です。

瞳孔が開いたままとなり、光に対する反応が悪くなると、後遺障害等級の対象になります。

片目は14級、両目は12級。

後遺障害に該当するかはハロゲンとペンライトを用いた対光反射検査で判断します。

外傷性白内障の治療法

鈍的外傷で白内障がそれほど進行していないときは、目薬での点眼治療を行います。

点眼薬は白内障の進行を遅らせるだけで根治はできないため、症状が悪化したときは手術が必要です。

穿孔性外傷で水晶体が傷ついたり、白濁していたりするときは手術を行います。

手術はレーザーや超音波で白濁した水晶体を取り除き、眼内レンズを挿入して視力回復させることが目的。

外傷性白内障の予防法

外傷性白内障は目への衝撃が原因で発症するので、保護が大切です。

スポーツをするときはゴーグルをするなどして目を守ってください。

外傷性白内障は症状がすぐに現れるとは限りません。

穿孔性外傷のように目に刃物が刺さるなど、明らかな怪我の場合は眼科を受診しようと考えるかもしれないですが、鈍的外傷は数年後に白内障を発症する恐れがあります。

目を怪我したときは目に異常がないからと放置せず、眼科をすぐに受診しましょう。

まとめ

外傷性白内障は年齢に限らず発症する可能性がある病気です。

目をぶつけて視界が変わったら、速やかに眼科を受診しましょう。

治療法は点眼薬や手術に加え、副作用が少ないストレスフリー療法もあります。

軽度の白内障であれば改善の見込みがあるので、選択肢の一つに考えてください。