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コラム

白内障の治療に用いられる多焦点レンズとは何か!気になる特徴について解説

2025年07月20日

白内障手術で使われる多焦点レンズについて、徹底解説します。

目の水晶体が濁る白内障が進行した場合、人工水晶体である眼内レンズに入れ替える手術が必要です。

1点にピントが合う単焦点レンズと、広い範囲にピントが合う多焦点レンズがあります。

この記事では、多焦点レンズの概要・おすすめな人・具体的な種類について解説します。

多焦点レンズについて知りたい方・白内障の発症リスクが高くなり始める40代以上の方に、おすすめの内容です。

監修者 佐藤琢紀(サトウ タクノリ)

監修者:佐藤琢紀(サトウ タクノリ)

銀座数寄屋橋クリニック院長

2004年東北大学医学部卒業後、国立国際医療センターで研修医として入職。2019年には国立国際医療研究センター国府台病院救急科診療科長に就任。18年間救急医として約36,000人の診療経験を通じ、現行医療の限界を認識。元氣で楽しい人生を歩むための戦略の重要性を感じる中、ストレスフリー療法と出会い、その効果に感銘を受ける。これを多くの人に広めるべく、2024年4月より銀座数寄屋橋クリニックでストレスフリー療法に特化した診療を行っている。

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白内障とは一体どんな病気なのか

白内障とは一体どんな病気なのか

白内障とは、加齢や紫外線、糖尿病などの原因により、目の水晶体が混濁する病気です。

水晶体はカメラのレンズのような役割を担い、外からの光を集めてピントを合わせています。

水晶体が濁ると、光が通りにくくなり、ピントの調整機能が低下。

結果、目のかすみ・光がまぶしい・視力低下・ものが二重に見えるなどの症状が現れます。

多くの場合、加齢が原因です。

早い人では40代で発症し、80歳を過ぎるとほぼすべての人に症状が認められます。

初期は進行抑制目的で点眼薬による治療をおこないます。

著しく進行した場合、手術で濁った水晶体を眼内レンズに交換。

多焦点レンズとは一体何か

多焦点レンズとは一体何か

白内障の手術では、濁った水晶体を取り除き、眼内レンズを挿入・固定します。

一般的には、単焦点レンズが用いられます。

ピントが合うのは、近方・中間・遠方のいずれか1点。

遠くにピントを合わせた場合、近くを見る際に老眼鏡が必要です。

近くに焦点を合わせた場合は、遠方用のメガネが必要になります。

多焦点レンズは、複数の距離にピントを合わせられます。

選択できる焦点距離は、以下のとおり。

  • 2焦点レンズ:遠・中・近のうち、いずれか2箇所に焦点が合う
  • 3焦点レンズ:遠・中・近の3箇所に焦点が合う
  • 焦点深度拡張型レンズ:遠方から近方にかけて切れ目なく焦点が合う

白内障の治療に多焦点レンズがおすすめな人

白内障の治療に多焦点レンズがおすすめな人

眼内レンズは合わせるピントの数により、単焦点と多焦点の2つに分けられます。

多焦点レンズは多種多様。

ライフスタイルなどに合わせたレンズを選べるなど、メリットが多いです。

多焦点レンズの特性などによるデメリットもあるため、手術前に医師と相談しなければなりあ㎡千。

ここでは、白内障の治療に多焦点レンズがおすすめの人を紹介します。

裸眼で過ごしたい人

できるだけ裸眼で過ごしたい人におすすめです。

多焦点レンズは、メガネやコンタクトレンズに依存しない生活ができます。

遠方と近方のどちらにも焦点が合うようになるため、多くの人は視力矯正器具の使用頻度が減少。

アウトドアやスポーツ、旅行などのシチュエーションで、メガネやコンタクトレンズを気にせずに楽しめます。

多焦点レンズを選ぶと、多くの場面で自由度が増し、生活の質が向上します。

夜間の車の運転が少ない人

夜間の車の運転が少ない人にもおすすめです。

夜間に発生することが多いハロー・グレア現象は、多焦点レンズの代表的な副症状。

ハロー現象は光の周囲に輪が見える現象なのに対し、グレア現象は光が非常にまぶしく感じる現象です。

眼内レンズの中で光が乱反射することで起こります。

ハロー・グレア現象が発生しやすいシーンは、瞳孔が大きくなる夜間や暗い場所です。

街灯や信号機、対向車のヘッドライトをまぶしく感じやすく、夜間の運転時の安全性に影響を与える可能性があります。

時間の経過とともに気にならなくなることが多いですが、慣れない人もいます。

ハロー・グレア現象が現れる可能性を十分に理解し、仕事や日常生活への影響を検討しましょう。

手元の細かい作業の少ない人

手元の細かい作業の少ない人にもおすすめです。

多焦点レンズは遠方視と近方視の両方をカバーする性質から、見え方に慣れるまで時間がかかる場合があります。

手元の細かいものを見たり、本を読んだりする場合に、焦点が合うまでタイムラグが生じることが多いです。

多くの場合は、この症状は時間とともに軽減されます。

手元が見えにくい状態が続く場合、老眼鏡が必要。

多焦点レンズでは、目の中に入る光を遠方用と近方用に振り分けます。

遠方も近方も正常よりやや少ない光で見ることになり、コントラスト(映像のシャープさ・色の濃淡)が低下することがあります。

眼内レンズを選択する際は、自分のライフスタイルとの適合性を考慮することが重要です。

費用が気にならない人

手術費用が高額になっても気にならない人にもおすすめです。

単焦点レンズを使った白内障手術は、健康保険が適用されます。

対象は、検査・点眼薬・手術・レンズ・追加検査などにかかるすべての費用。

自己負担割合は1~3割です。

多焦点レンズは選定療養の対象になります。

単焦点レンズの手術費用に加え、多焦点レンズと単焦点レンズとの差額・追加検査費用が加算されます。

追加分は全額自己負担のため、費用が高額になる点に注意しましょう。

国内未承認の輸入レンズの場合は、自由診療。

手術にかかる費用の全額が自己負担です。

白内障の治療に用いられる多焦点レンズの種類

白内障の治療に用いられる多焦点レンズの種類

ここでは、白内障手術で用いられる多焦点レンズについて、具体的な種類を紹介します。

多焦点レンズには多くの種類があり、2焦点や3焦点、5焦点に合わせられるレンズまで登場しています。

ハロー・グレアを抑制したもの・乱視矯正機能を備えたものなどもあるため、自分の希望に合った多焦点レンズを選ぶことが重要。

INTENSITY

INTENSITY(インテンシティ)は、世界初にして唯一の5焦点レンズです。

遠方・遠中・中間・近中・近方の5箇所にピントを合わせられます。

コントラスト感度に優れ、ハロー・グレアも少ないのが特徴。

乱視用レンズもあります。

読書、デスクワーク、ゴルフなどをクリアな視界で楽しむことができるため、ほぼメガネを使用しない生活を送れます。

少し近方が見えにくいと感じることがある場合に注意しましょう。

夜間に運転する方にもおすすめです。

国内は未承認のため、自由診療となります。

高額になる点に注意しましょう。

AcrySof IQ PanOptix Trifocal

AcrySof IQ PanOptix Trifocal(パンオプティクス)は、国内で初めて承認を受けた3焦点レンズです。

遠方・中間・近方の3箇所にピントを合わせられます。

ハロー・グレアを抑えるための工夫がされています。

乱視用レンズがある点も特徴の一つ。

日常生活でメガネの使用頻度を減らすことができ、パソコン作業などに必要な距離がよく見えます。

選定療養の対象で、費用は抑えることができます。

finevision

finevision(ファインビジョン)は、3焦点レンズ。

遠方・中間・近方の3箇所にピントを合わせられます。

コントラスト感度には優れているものの、ハロー・グレアを自覚しやすいレンズです。

乱視用レンズはありません。

日常生活でメガネの使用頻度を減らすことができます。

デスクワークに適した中間距離の見え方の精度が高くなっています。

見え方に慣れるまでは、夜間の運転を控えなければなりません。

2023年から選定療養の対象となっているため、費用は抑えられます。

ACTIVE FOCUS

ACTIVE FOCUS(アクティブフォーカス)は、2焦点レンズです。

遠方・中間の2箇所にピントを合わせられます。

遠方に光を100%配分する特殊な構造により、ハロー・グレアは抑えることが可能。

遠方の見え方の質が高い点も特徴に挙げられます。

乱視用レンズもあります。

夜間にドライブする機会が多い方・ゴルフやテニスなどのスポーツを楽しみたい方などに適したレンズです。

選定療養の対象で、費用は抑えられます。

AcrySof IQ ReSTOR

AcrySof IQ ReSTOR(レストア)は、2焦点レンズです。

遠方・近方の2箇所にピントを合わせることが可能。

ハロー・グレアを自覚しやすいレンズですが、以前のものと比べると低減する構造になっています。

乱視用レンズもあります。

読書や手芸、スマホなど、手元の見え方重視の方におすすめです。

手術後に目の中でレンズが回転しにくいように設計されているため、安定性が保たれます。

夜間の運転には注意しましょう。

選定療養の対象で、費用は抑えられます。

LENTIS Mplus

LENTIS Mplus(レンティスエムプラス)は、2焦点レンズです。

遠方・近方または遠方・中間の2箇所にピントを合わせられます。

暗所でのコントラスト感度が高く、ハロー・グレアやワキシービジョン(もやがかかったような見えにくさ)が抑えられた構造です。

ゴースト(ぼやけた像が重なって見える)が出る場合がある点に注意が必要。

乱視用レンズも存在します。

夜間の運転をする方におすすめです。

特に遠方の見え方の精度が高い反面、手元の見えにくさを感じる場合があります。

自由診療のため、費用は高額です。

FEMTIS Comfort

FEMTIS Comfort(フェムティスコンフォート)は、2焦点レンズです。

遠方・中間の2箇所にピントを合わせられます。

ハロー・グレアやワキシービジョンが抑えられた構造です。

乱視用レンズもあります。

遠方から中間距離まではスムーズにピントが切り替えられ、裸眼でもアウトドアなどを楽しむことができます。

読書や裁縫、パソコン作業などでは、老眼鏡が必要。

国内唯一の保険適用の多焦点レンズです。

白内障手術の費用を抑えられます。

TECNIS MULTIFOCAL

TECNIS MULTIFOCAL(テクニスマルチフォーカル)は、2焦点レンズです。

遠方・近方または中間・近方の2箇所にピントを合わせられます。

近方度数は3つのオプションから選択可能。

ハロー・グレアを自覚しやすいレンズです。

乱視用レンズはありません。

特に、読書や手芸、スマホなど、手元の見え方重視の方におすすめです。

慣れるまでは夜間の運転をするのは控える必要があります。

選定療養の対象で、費用は抑えられます。

Synfony

Symfony(シンフォニー)は、焦点深度拡張型レンズです。

遠方から近方にかけて、連続的に広い領域で鮮明な視界が得られます。

遠方のコントラスト感度が高く、ハロー・グレアをある程度抑えられる点が特徴。

乱視用レンズもあります。

日常生活で、メガネの使用頻度を大きく減らすことが可能です。

手元は見え方が少し不安定なことがあり、読書の際には老眼鏡が必要になることもあります。

選定療養の対象で、費用は抑えられます。

Synergy

Synergy(シナジー)は焦点深度拡張型レンズです。

遠方から近方にかけて、連続的に広い領域で鮮明な視界が得られます。

ハロー・グレアを感じやすいレンズのため、夜間の運転には注意が必要。

乱視用レンズもあります。

日常生活で、メガネの使用頻度を大きく減らすことが可能です。

手元の見え方が不安定に感じる場合もあるため、読書の際には老眼鏡が必要になる場合もあります。

選定療養の対象で、費用は抑えられます。

目のコンディションをサポートするストレスフリー療法

目のコンディションをサポートするストレスフリー療法

近年、全身の血流や自律神経を整えて目のコンディションを根本からサポートするストレスフリー療法が注目されています。

ストレスフリー療法とは、身体の特定の6点に直径1cmの導子をつけ、遠赤外線を30~60分照射する温熱療法。

ストレスホルモンの低減・血流の大幅な増加などの効果が確認されています。

高血圧や糖尿病、認知症、不眠症、冷え症など、さまざまな病気の予防・改善効果が期待できます。

眼球の中を流れる房水は、目の組織に栄養分を与える組織です。

ストレスフリー療法で全身の血流とともに房水の循環も高めることにより、白内障の予防・改善効果も期待できます。

まとめ

白内障の治療に用いられる多焦点レンズとは何か!気になる特徴について解説のまとめ

多焦点レンズには多種多様なものがあり、ライフスタイルに合わせたレンズを選べます。

メガネの使用頻度を減らし、快適な生活を送りやすくなる点がメリット。

費用が高額なのに加え、ハロー・グレアが生じやすい点に注意しましょう。

手術以外にも簡易的な選択肢として、ストレスフリー療法もあります。

この記事が、眼内レンズの選択の参考になれば幸いです。