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コラム

パーキンソン病は一体何科を受診すればいいか?診断手順について解説!

2025年08月29日

「パーキンソン病」は、手の震えなどの運動症状や便秘などの非運動症状が現れる神経変性疾患です。

そのような症状が現れて不安に感じても、どの診療料で検査してもらえるのかわからず、受診をためらっている方もいるかもしれません。

この記事では、パーキンソン病は何科を受診したらいいのか、診断の流れ、治療法を解説します。

治療法のひとつとして、症状の改善効果が期待できる「ストレスフリー療法」も取り上げます。

パーキンソン病とは一体どんな病気なのか

パーキンソン病とは一体どんな病気なのか

「パーキンソン病」とは、手の震えや筋肉のこわばりなどの症状が現れる進行性の病気です。

50歳以上で発症することが多い病気ですが、40歳以下で起こることもあり「若年性パーキンソン病」と呼ばれます。

高齢になるほど発症率が高く、65歳以上では100人に1人程度。

2021年度の調査から、日本での患者数は約20万人と推定されています。

運動の制御に関わる神経伝達物質「ドパミン」は、中脳の「黒質」にあるドパミン神経細胞で作られます。

パーキンソン病になるとその神経細胞が減少。

ドパミンが十分に作られなくなります。

その結果、運動の調節がうまくいかなくなり、体の動きに障害が現れるのです。

パーキンソン病になった際は何科を受診すれば良いか

パーキンソン病になった際は何科を受診すれば良いか

それでは、パーキンソン病の可能性がある場合には、何科を受診すればよいのでしょうか。

パーキンソン病は、診療に専門的な知識が必要な脳の神経に関わる難病なので、「脳神経内科(神経内科)」が正解です。

脳神経内科と心療内科・精神科の違い

脳神経内科と心療内科・精神科の違い

脳神経内科・心療内科・精神科は、どれも脳や神経系の病気を扱う診療科です。

簡単にいえば、「からだ」の問題として脳の病気を扱うのが脳神経内科で、「こころ」の問題として脳の病気を扱うのが心療内科や精神科です。

① 脳神経内科

脳卒中(脳梗塞、脳出血など)や認知症、パーキンソン病、てんかん、末梢神経障害、筋萎縮性側索硬化症(ALS)など、脳や神経系の器質的な病気を扱います。

② 心療内科

ストレスにより生じる身体の不調(胃潰瘍や不眠症など)、いわゆる「心身症」を扱います。

③ 精神科

うつ病や統合失調症などの精神疾患による抑うつや幻覚、妄想、イライラなどの心の症状を扱います。

パーキンソン病の診断手順

パーキンソン病の診断手順

パーキンソン病は、他の病気との区別が難しいため、診断には専門医による丁寧な診察と検査が必要です。

パーキンソン病の診断は、問診や神経学的診察、画像検査などを組み合わせて行います。

また、診断を確定するために、薬の効き具合を試す場合もあります。

以下、診断手順です。

問診

まずは「問診」を行い、運動症状や非運動症状の有無など診断に必要な事項を確認します。

医師からの質問は、たとえば次のとおりです。

診断の精度を上げるため、どんなに些細なことでもすべて正直に答えてください。

  • どのような症状で困っているか
  • 症状はいつから始まり、どのくらい続いているか
  • 症状の変化はあったか
  • これまでにかかった病気、今かかっている病気
  • 今飲んでいる薬
  • 家族や親族にパーキンソン病の人がいなかったか
  • 薬によるアレルギーを起こしたことがあるか

診断

次に、「神経学的診察」を行います。

実際に患者の身体に触れたり、動かしたりして、症状の有無や程度をみることが目的です。

特に、以下のパーキンソン病の代表的な4つの運動症状を確認します。

「動作緩慢」に加えて「安静時振戦」または「筋固縮」がみられることは、パーキンソン病の診断における必須基準。

  • 安静時振戦(じっとしている時の手の震え)
  • 動作緩慢(動きが鈍い)
  • 筋固縮(筋肉のこわばり)
  • 姿勢反射障害(バランスを崩しやすい)

脳の画像検査

パーキンソン病の診断は問診と診察を中心に行いますが、その判定はベテランの脳神経内科の医師でも難しいことがあります。

そこで、診断をより確実なものにするために行うのが「脳の画像検査」です。

パーキンソン病と似た症状を引き起こす他の病気がないかを確認します。

画像検査には、以下のようなものがあります。

① MRI検査

脳内の部位の形の変化を見る検査。

パーキンソン病では異常が見られないが、脳梗塞や脳腫瘍などで異常が見られます。

② DATスキャン

脳から全身に信号を送る仲介役のドパミントランスポーターの状態を見る検査。

パーキンソン病やレビー小体型認知症では、密度が低下します。

治療的診断

ここまでの診察や画像検査を行っても診断が難しい場合は、「治療的診断」が行われる場合もあります。

具体的には、パーキンソン病の治療薬である「レボドパ(L-ドパ)」などを投与し、症状の改善がみられるかを観察します。

薬によって症状が改善した場合は、パーキンソン病の可能性が高いと判断されるのです。

なお、レボドパにより「ジスキネジア」という不随意運動の症状が現れる場合も、パーキンソン病の可能性が高いと判断されます。

ジスキネジアとは、レボドパの副作用により手足や口などが勝手に動いてしまう症状。

パーキンソン病の治療法

パーキンソン病の治療法

パーキンソン病の治療は、「薬物治療」が基本です。

しかし、薬を一定期間以上服用している患者で特定の症状がみられる場合などには、「手術」が行われることがあります。

ここでは、パーキンソン病の治療法で一般的な「薬物治療」と「手術」に加え、パーキンソン病の症状改善効果が期待できる「ストレスフリー療法」について解説します。

薬物治療

パーキンソン病の原因は脳のドパミン欠乏なので、治療は薬によりドパミンの働きを補うことが主体です。

以下に代表的な2剤を紹介します。症状や進行度に合わせて、これらの薬や他の薬を組み合わせて使います。

① レボドパ(L-ドパ)

脳内でドパミンに変化して作用します。

治療効果が高く、速効性に優れているのが特徴ですが、作用時間が短いことが欠点です。

② ドパミンアゴニスト

ドパミンに似た作用をもつ薬です。

治療効果がやや弱いのですがゆっくり効くので、1日1回の服用で安定した効果を得られます。

レボドパに比べ、悪心や低血圧などの副作用が出やすいのが欠点。

手術

薬物治療の副作用が強かったり、症状のコントロールが難しかったりする場合には、手術が選択されることがあります。

現在主流となっている「脳深部刺激療法」は、脳の奥のドパミンに関係する部位に電極を埋め込み、弱い電気刺激を与えることで、症状を抑える治療法です。

特に、「視床下核刺激術」が多く行われます。

手術によりパーキンソン病が完治することはありません。

症状をコントロールし、リハビリテーションも行いながら、生活の質を向上させることが目的です。

ストレスフリー療法

「ストレスフリー療法」とは、身体の特定の6点に直径1cmの導子をつけ、遠赤外線を30~60分照射する温熱療法です。

これにより、全身の血流や自律神経を整え、高血圧や糖尿病、認知症、不眠症、冷え症、白内障など、さまざまな病気の予防・改善効果が期待できます。

また、ストレスフリー療法により、パーキンソン病の症状が大きく改善した実例も。

パーキンソン病の早期発見・治療が重要

パーキンソン病の早期発見・治療が重要

パーキンソン病は早期の発見と早期の治療開始が重要となります。

パーキンソン病は、進行するにつれて生活の質が低下していく病気です。

例えば、動作緩慢や姿勢反射障害の症状が進むと、体のバランスを保てずふらつきや転倒から骨折を起こしやすくなります。

また、パーキンソン病の症状が重くなると、要介護状態となり、さらに寝たきりになることもあるのです。

予防は難しいのですが、早く治療を始めれば症状が改善しやすいことが明らかになっています。

動作緩慢や手足の震え、筋肉のこわばりなどの症状がみられた場合は、早めに脳神経内科を受診しましょう。

まとめ

パーキンソン病は一体何科を受診すればいいか?診断手順について解説!のまとめ

今回は、パーキンソン病は何科を受診すればいいのかなどを解説しました。

パーキンソン病の診断・治療を行うのは、「脳神経内科」です。

診断の流れは、「問診」「神経学的診察」「画像検査」で、必要があれば「治療的診断」も行います。

治療法は、「薬物療法」が基本で、場合によっては「手術」が選択されることも。

また、パーキンソン病の症状を改善する効果が期待できる「ストレスフリー療法」もあります。

パーキンソン病は、早期に発見して治療を開始することが何より重要です。

動作緩慢や手の震えなどの疑われる症状がみられたら、早めに脳神経内科を受診してください。