白内障手術の術後は、目を刺激する行為や感染症リスクのある行為を一定期間避けなければなりません。
目の水晶体が混濁する白内障が進行した場合は手術が必要です。術後は定期的に眼科を受診しながら、処方された目薬を使用します。日常生活を送る際の注意点もあります。
この記事では、白内障手術の術後の日常生活・術後のトラブル・注意点・白内障の初期段階で効果が期待できる「ストレスフリー療法」について解説します。
監修者:佐藤琢紀(サトウ タクノリ)
銀座数寄屋橋クリニック院長
2004年東北大学医学部卒業後、国立国際医療センターで研修医として入職。2019年には国立国際医療研究センター国府台病院救急科診療科長に就任。18年間救急医として約36,000人の診療経験を通じ、現行医療の限界を認識。元氣で楽しい人生を歩むための戦略の重要性を感じる中、ストレスフリー療法と出会い、その効果に感銘を受ける。これを多くの人に広めるべく、2024年4月より銀座数寄屋橋クリニックでストレスフリー療法に特化した診療を行っている。
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白内障手術後の生活
白内障が進行した場合は、視力回復目的で手術が行われます。
手術は濁った水晶体を取り除き、代わりに眼内レンズを挿入するというものです。
短時間かつ安全な手術ですが、術後にはいくつかの注意点があります。
手術による傷は数日残るため、しばらくは目に刺激を与える行為・細菌感染の可能性がある行為は控えることが重要。
以下、術後の生活について紹介します。
手術当日の生活
① 手術終了後
目を点眼薬(目薬)で洗浄し、抗菌剤入りの軟膏を傷口に塗って眼帯または保護メガネをします。接触やホコリ・紫外線などから目を守ることが目的です。
② 帰宅後
帰宅後は、できるだけ安静に過ごしましょう。
食事は普段どおりで構いませんが、飲酒・喫煙は控えてください。
入浴や洗髪は控え、顔を軽く拭く・足を洗う程度にします。
就寝時も、眼帯や保護メガネは外してはいけません。
③ 手術後の痛み
手術後に麻酔が切れると、チクチク・ゴロゴロすることがあります。
痛みが強い場合、処方された痛み止めの薬を服用します。
出血・薬が効かない激しい痛みなどの問題などが生じた場合、すぐに医師に連絡してください。
手術翌日の生活
手術翌日は術後の経過観察のため、手術を受けた眼科を受診します。
感染予防・抗炎症目的で医師の指示に従い、手術翌日から3ヶ月程度は1日2~4回にわたって複数の点眼薬を使用する必要があります。
テレビ鑑賞・読書・デスクワークなどは無理のない範囲なら可能。
就寝時の眼帯・保護メガネの使用は、1週間続けてください。
首から下のシャワーが可能となりますが、浴槽につかるのは1週間後からです。
まだ洗顔・洗髪はできないため、顔や頭は絞ったタオルやウエットティッシュなどで拭く程度にしてください。美容院での仰向けの洗髪は可能です。
術後1週間の生活
手術をした1週間後も術後の経過観察のため、手術を受けた眼科を受診する必要があります。
通常通りの洗顔・洗髪・入浴・飲酒・喫煙が可能です。
就寝時の眼帯・保護メガネが不要になります。
見え方が安定し医師の許可があれば、車の運転を再開できます。
もちろん、点眼薬の使用は継続してください。
激しいスポーツや力仕事は血圧が上昇して目の奥から出血し、失明につながる危険性があるため、1ヶ月は控えることが必要です。
術後1ヶ月の生活
手術をした1ヶ月後も術後の経過観察のため、手術を受けた眼科を受診する必要があります。
点眼薬の使用は継続する必要がありますが、1ヶ月後から種類が減ることもあります。
医師と相談しながら、激しいスポーツ・力仕事を再開できます。目を強く打ったり、砂などが入ったりしないように注意してください。
アイメイクやビューラー、毛染め、パーマをしても問題ありません。
遠方への旅行や温泉の利用も1ヶ月後から可能です。
術後2ヶ月以降の生活
通常は手術後1~2ヶ月程度で見え方が安定するため、度数が合ったメガネやコンタクトレンズを作ることができるようになります。視力がまだ安定していない場合は、安定するまで待ちましょう。
医師の指示に従い、眼科を受診し、点眼薬の使用も続ける必要があります。自己判断で勝手に通院・薬の使用をやめないことが重要です。感染症などのトラブルの原因になります。
問題や困ったことが起きた場合、早めに医師に相談してください。
白内障手術後の見え方
白内障手術後、見え方が安定するまでに1~2ヶ月ほどかかる場合があります。
術後は、以下のように見え方に違和感を覚えることもあります。多くは一時的なものですが、気になる方は医師に相談してください。
① まぶしく感じる
水晶体の濁りがなくなったことによるもの。多くの方が感じます。
② 光の周辺に輪が見える
眼内レンズに光が反射することで起こる現象です。夜間に車のライトを見た場合などに起こります。
③ 視界が青っぽく見える
水晶体は加齢とともに黄色味を帯びます。眼内レンズに代わることにより、青色の光が入りやすくなります。
④ 飛蚊症
視界に黒いものが飛んでいるように見える症状です。水晶体の濁りがなくなることにより、硝子体の濁りを自覚しやすくなるために起こります。
術後に痛みを感じた場合は注意が必要
白内障手術の傷は2~3mm程度と非常に小さく、通常はほぼ痛みはありませんが、手術当日はゴロゴロする感覚が残ることがあります。当日は安静に過ごしましょう。
翌日以降、目の痛みが激しくなった場合は医師の診察を受けてください。眼圧上昇や術後眼内炎などが疑われます。
眼圧上昇は、手術による炎症などによって起こりますが、多くは一過性のものです。
術後眼内炎は、手術の傷から細菌が感染し、目の中に強い炎症が起きている状態です。術後に適切に点眼薬を使用すれば、ほとんど発症することはありません。
術後の視力低下に注意が必要
白内障手術後、視力が安定して数ヶ月以上経ってから視力が低下した場合、眼内レンズの傾き・脱臼・後発白内障が疑われます。早めに眼科を受診してください。
眼内レンズの傾き・脱臼は、加齢や外傷などにより、水晶体嚢を支えるチン小帯が劣化して、眼内レンズが傾いたり外れたりすることです。再度の手術が必要になります。
後発白内障は白内障手術後に一定の割合で認められる合併症です。手術後、水晶体嚢の中に残った水晶体上皮細胞により、水晶体後嚢が濁り視力が低下します。5分程度のレーザー治療で改善できます。
術後にコンタクトレンズをつける際の注意点
白内障手術後でも、コンタクトレンズは装着できます。
手術で単焦点眼内レンズを選んだ場合、裸眼では近方または遠方のどちらかにしかピントを合わせられません。複数の位置にピントを合わせたい場合、メガネやコンタクトレンズが必要です。
手術直後は、度数が安定しない・傷口が塞がっていない状況。特に、傷口からの細菌感染リスクが問題となります。
コンタクトレンズ装着のタイミングは医師との相談が必要です。1ヶ月または3ヶ月後の検診で問題なしと判断された場合、装着できます。
複数の箇所にピントを合わせられる多焦点眼内レンズならば、メガネやコンタクトレンズに依存しない生活が可能です。
全身のコンディションを整えるストレスフリー療法
近年は、白内障の初期段階において、全身の血流や自律神経を整えて目のコンディションを根本からサポートするストレスフリー療法も注目されています。
医師と相談しながら、進行度や症状に応じた最適な治療法を選ぶことが重要です。
ストレスフリー療法とは
ストレスフリー療法とは、身体のツボに直径3mmの導子をつけ、遠赤外線を30~60分照射する温熱療法です。
ストレスホルモンの低減・血流の大幅な増加といった効果が確認されています。
高血圧・糖尿病・白内障・認知症・不眠症・冷え症など、さまざまな病気の症状を改善する効果が期待できる点がポイント。
白内障の治療にも期待
眼球の中には、房水と呼ばれる体液が流れており、角膜や水晶体、硝子体などの組織に栄養を与える役割を担っています。
ストレスフリー療法で身体全体の血流を良くし、眼球中の房水の循環も高めることにより、白内障の改善効果が期待できます。
まとめ
今回は、白内障手術の術後の生活などを詳しく解説しました。
- 3ヶ月程度は定期的な受診と毎日の点眼薬の使用が必要
- 1週間は洗顔・洗髪・入浴・飲酒ができず、就寝時は保護メガネ着用
- 1ヶ月で激しいスポーツが可能
- 2ヶ月でメガネ作製可能
- 術後は多くの人が「まぶしく感じる」などの違和感を覚えるが、一時的なもの
- 術後に痛みや視力低下があれば、早めに眼科を受診
- コンタクトレンズをつけるタイミングは医師と相談
- 初期段階の治療法として、血流改善効果のあるストレスフリー療法にも期待
この記事が、白内障手術を受ける方の、疑問点・不安の解消につながれば幸いです。