白内障は、目の水晶体が混濁する病気です。初期段階の場合、点眼薬で進行を抑えます。進行した段階では、視力回復のために手術が必要。

この記事では、白内障を手術しないで治すことはできるのかに加え、白内障の予防法・初期段階で効果が期待できるストレスフリー療法について紹介します。

早いうちから白内障を予防したい方・白内障が疑われる症状がある方におすすめの内容です。

白内障を手術しないで治すことができるのか

白内障の初期段階には、ものがかすんで見えるなどの症状が現れます。進行すると、日常生活に支障が出るほど視力が低下することがあります。

その段階では、視力を回復するための治療として、手術を行うことが一般的。

「目薬・サプリメントを使えば、手術しないで治すことはできるのではないか」などの疑問を感じている方も多いでしょう。

まずは、白内障を手術しないで治すことはできるのかについて解説します。

基本的には手術で治す

白内障の初期段階で生活に支障がない状態では、一般的に点眼薬による治療が行われます。その目的は進行抑制で、点眼薬で水晶体の濁りが消えることはありません。

白内障が進行し生活に支障がある場合、基本的に手術が行われます。

具体的には、混濁した水晶体を取り除き、代わりに人工水晶体である眼内レンズを挿入する方法。

手術と聞いて、目にメスを入れることから怖いイメージを持つ人もいるかもしれません。

一般的に点眼による局所麻酔で痛みはほとんどなく、30分以内と短時間かつ安全な手術です。視力回復にかかる期間も、昔と比べて短くなりました。

自然治癒できない点に注意が必要

白内障の自然治癒はできず、視力を回復するには、基本的に手術が必要です。

目薬やサプリメント、生活習慣の改善では、水晶体の濁りが改善・回復することはありません。

水晶体が濁る理由は、タンパク質の変性です。わかりやすい例えを挙げると、透明な生卵の白身を加熱すると、タンパク質が変性を起こして白く硬くなります。ゆで卵や目玉焼きの白身が透明に戻らないのと同じように、白内障により濁った水晶体が元に戻ることはありません。

白内障が進行すると、水晶体の混濁が進んで見え方の違和感が強くなります。そのまま放置すると、急性緑内障発作・ぶどう膜炎などを発症するリスクが高くなるため、注意が必要。

転倒による骨折のリスクが高くなる点・精神的なストレスになる点も早期の治療が必要な理由です。

白内障の手術を行う前の予防が重要

白内障の多くは加齢が原因ですが、生活習慣が関係することもあります。

手術が必要な段階にまで進行させないために、早期発見・早期治療も重要です。

白内障の手術を回避するための予防法などを紹介します。

定期検診を受ける

白内障の予防をするには、眼科での定期検診が重要です。

白内障は早期に発見できれば、点眼薬による治療で進行を抑制するなど、手術以外の治療法の選択肢が増えます。

40歳を過ぎると、白内障以外にもさまざまな目の疾患（緑内障、加齢黄斑変性症など）の罹患率も高くなるため、年に1度の眼科検診を受けておくと安心です。

見え方に違和感を感じた際、できる限り早めに眼科を受診しましょう。

点眼薬

白内障の症状が日常生活に支障がなく、手術の必要がない初期段階の場合は、点眼薬による治療が基本。水晶体の濁りが改善するわけではなく、進行を抑えることが目的です。

使用される点眼薬として、主に以下のものが挙げられます。

①ピレノキシン製剤

キノイド物質の水晶体タンパク質への結合を阻害することで、白内障の進行を抑えると考えられています。

②グルタチオン製剤

白内障の進行により減少した、グルタチオンを補います。グルタチオンは水晶体内の抗酸化物質。酸化されて生じる不溶性タンパク質の増加を抑え、白内障の進行を抑えると考えられています。

バランスの良い食生活

バランスの良い食生活により、白内障の予防効果が期待できます。

抗酸化成分を多く含む食品を積極的に摂ることが重要です。

糖質が多い食品は、過剰摂取で糖尿病のリスクが高まり、糖尿病性白内障のリスクも高めます。

糖質・タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラルをバランス良く摂取することが、食生活を見直す際のポイント。

抗酸化成分には、例えば以下のようなものがあり、多く含まれる食品も示します。

①ビタミンC

イチゴ、レモン、ブロッコリーなどの野菜・果物のほか、緑茶や焼きのりなど

②ベータカロチン・ルテイン

ニンジン、ホウレンソウ、ピーマン、カボチャなどの緑黄色野菜

③ゼアキサンチン

パプリカ、トウモロコシ、マンゴー、スピルリナ、パパイヤなど

紫外線対策

紫外線対策も、白内障の予防に有効です。

地上に届く紫外線には、UV-AとUV-Bがあります。白内障の原因となる紫外線は、エネルギーが高いUV-B。

UV-Bを浴びることで発生した活性酸素により、水晶体のタンパク質が酸化され、白内障の原因になります。

海水浴・登山・屋外スポーツ・屋外での作業などを行う際、肌だけでなく目に対する紫外線対策も必要です。紫外線をカットする機能のあるサングラス・つばの広い帽子などにより、紫外線対策に取り組むことをおすすめします。

適度な運動

適度な運動も、白内障予防には効果的。

目の周辺の毛細血管の血流が改善されることにより、老廃物を排出しつつ、目に必要な栄養分が届くことなどが理由に挙げられます。

生活習慣病も予防できるため、糖尿病に起因する白内障の予防にもつながります。白内障のリスク因子の1つである肥満の解消になる点も適度な運動が効果的な理由。

運動としては、酸素を多く取り入れる有酸素運動が適しています。1日30分程度を毎日行うことが理想です。有酸素運動としては、ウォーキング・ジョギング・水泳・サイクリング・エアロビクスなどがあります。

禁煙

白内障予防には、禁煙も効果的です。白内障のリスクが高くなる原因の1つとして、喫煙が挙げられます。

詳細なメカニズムは不明。ニコチンが目の周りの血流が悪化する・窒素酸化物が水晶体タンパク質を変性させるなど、さまざまな原因が考えられています。

2013年に発表されたスウェーデンの男性を対象にした研究において、以下の研究結果を発表。

• 1日15本以上タバコを吸う人は、喫煙経験のない人と比べて、白内障手術のリスクが42％高い
• 禁煙から20年以上経過しても、白内障手術のリスクは21％高い

身体のコンディションを整えるストレスフリー療法

白内障の初期段階において、一般的に進行を抑えるため、点眼薬による治療が行われます。

近年、全身の血流・自律神経を整え、目のコンディションを根本からサポートするストレスフリー療法が注目されています。

ストレスフリー療法とは

ストレスフリー療法とは、身体の特定の6点に直径1cmの導子をつけ、遠赤外線を30～60分照射する温熱療法。

ストレスホルモンの低減・血流の大幅な増加などの効果が確認されています。

高血圧・糖尿病・認知症・不眠症・冷え症など、さまざまな病気の症状を改善する効果が期待できます。

② 白内障の改善にも期待

眼球の中を流れる房水は、角膜・水晶体・硝子体などの組織に栄養分を与える役割を担っています。

全身の血流を良くし、眼球中の房水の循環も高めることで、初期の白内障の改善効果が期待できます。

まとめ

今回は、白内障を手術しないで治すことはできるのか・白内障の予防法について紹介しました。

1. 白内障が進行した場合、視力回復のために手術が行われる
2. 点眼薬や生活習慣改善などによる自然治癒はできない
3. 手術を回避するための予防法は、定期検診・点眼薬・バランスの良い食生活・紫外線対策・適度な運動・禁煙
4. 初期段階の治療法として、血流改善効果のあるストレスフリー療法にも期待

白内障が進行してしまうと、手術以外の治療法の選択肢がなくなります。

普段から白内障予防のために生活習慣を改善し、早期発見のために定期検診を受けましょう。