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コラム

白内障手術に用いる眼内レンズのメリット・デメリットについて解説!

2025年06月04日

目の水晶体が混濁する白内障が進行した場合、人工水晶体である眼内レンズに入れ替える手術が必要です。単焦点眼内レンズが多く使用されますが、より広い範囲にピントが合う多焦点眼内レンズもあります。

この記事では、単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズのメリット・デメリットを解説。手術の必要がない白内障の初期に効果が期待できるストレスフリー療法についても紹介します。

白内障手術の予定のある方・不安な方に読んでいただきたい内容です。

監修者 佐藤琢紀(サトウ タクノリ)

監修者:佐藤琢紀(サトウ タクノリ)

銀座数寄屋橋クリニック院長

2004年東北大学医学部卒業後、国立国際医療センターで研修医として入職。2019年には国立国際医療研究センター国府台病院救急科診療科長に就任。18年間救急医として約36,000人の診療経験を通じ、現行医療の限界を認識。元氣で楽しい人生を歩むための戦略の重要性を感じる中、ストレスフリー療法と出会い、その効果に感銘を受ける。これを多くの人に広めるべく、2024年4月より銀座数寄屋橋クリニックでストレスフリー療法に特化した診療を行っている。

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眼内レンズとは

眼内レンズとは

白内障手術では濁った水晶体を除き、眼内レンズ(IOL)を挿入します。大きく分けると、単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズの2種類。どちらにも、乱視も矯正可能なトーリックレンズがあります。

似た名称の眼内コンタクトレンズ(ICL)は、目の中に小さなレンズを挿入し、近視・遠視・乱視を矯正する手術です。白内障の治療とは無関係。

①単焦点眼内レンズ

遠近どちらかにピントを合わせ、ピントが合う1点がくっきり見えるようになります。

どこにピントを合わせるかは、趣味や仕事などライフスタイルを考慮することが重要です。ゴルフが趣味の人や車の運転をする人は遠方に、読書やパソコン作業をする人は近方に合わせるとよいでしょう。

②多焦点眼内レンズ

遠近どちらにもピントが合い、手元から遠くまでよく見えるため、メガネの使用頻度を減らすことが可能です。中距離も含めた3点にピントが合うレンズもあります。

単焦点眼内レンズのメリット

単焦点眼内レンズのメリット

まずは、単焦点眼内レンズのメリットを紹介します。

多焦点レンズのデメリットの裏返しになります。

健康保険が適用されるため費用が抑えられること・1点にピントを合わせるため視力がすぐに安定し、クリアで質の良い見え方がすることの2点がメリットです。

保険適用

単焦点眼内レンズを使った白内障手術は、健康保険が適用されます。

健康保険の対象は、検査・点眼薬・手術・レンズ・追加検査などにかかるすべての費用です。

自己負担割合は、年齢や所得に応じて1~3割となるため、費用を抑えることができます。

ちなみに、多焦点眼内レンズは選定療養の対象。

単焦点レンズの治療費に、多焦点レンズと単焦点レンズとの差額と追加検査費用が加算されます。この追加分は全額自己負担なので、費用はかなり高額になります。

国内未承認の輸入レンズの場合は自由診療となるため、手術にかかる費用の全額が自己負担。

視力が比較的早く安定しやすい

単焦点眼内レンズは、ひとつの距離に特化しているため、手術後の視力調整が比較的簡単です。手術後の視力安定が早い場合があります。

特定の距離に焦点を合わせたい方には、効果的な選択肢。

後述しますが、単焦点眼内レンズでは、白内障の手術後もメガネが必要になります。焦点を合わせた特定の距離のものはかなりクリアに見ることができ、色の濃淡の識別などのコントラスト感度は多焦点レンズより優れています。

ハロー・グレア現象が夜間に発生しにくい

単焦点眼内レンズでは、多焦点レンズより夜間のハロー・グレア現象が発生しにくいです。

ハロー現象は光の周囲に輪が見える現象なのに対し、グレア現象は光が非常にまぶしく感じる現象。これらの現象は、眼内レンズの中で光が乱反射することで起きます。

これらの現象が起こりにくくなることにより、夜間に街灯や信号機、車のヘッドライトを見てもまぶしく感じにくくなります。夜間における車の運転を安全に行うことが可能。

単焦点眼内レンズのデメリット

単焦点眼内レンズのデメリット

次に、単焦点眼内レンズのデメリットを紹介します。

多焦点レンズのメリットの裏返しになります。

特定の1点にしか焦点を合わせることができない

選択できる焦点距離は、遠方(5m以上)または近方(50cm)です。

遠方は、運転やスポーツなどをする際に遠くのものが見やすい距離となります。近方は、本や新聞、スマートフォンを読む際などによく見える距離。

日常生活でメガネ・コンタクトレンズが必要である

遠方にピントを合わせた場合は、近距離のものを見る際に老眼鏡が必要になります。

逆に、近方にピントを合わせた場合は、遠距離のものを見るために近視用のメガネが必要です。

多焦点眼内レンズのメリット

多焦点眼内レンズのメリット

ここでは、多焦点眼内レンズのメリットを紹介します。

単焦点レンズのデメリットの裏返しになります。

メガネやコンタクトレンズに依存しない生活ができる点・多種類のレンズから見え方を選択できる点がメリットです。

メガネ・コンタクトレンズに依存しない

多焦点眼内レンズは複数の箇所にピントを合わせられるため、メガネ・コンタクトレンズに依存しない生活が可能。

遠方と近方のどちらにも焦点が合うようになるため、多くの人は視力矯正器具の使用頻度が減少します。

アウトドア・スポーツ・旅行などのシチュエーションで、メガネ・コンタクトレンズを気にせずに楽しめます。

多焦点眼内レンズを選ぶことで、多くの場面で自由度が増し、生活の質が向上する点もポイントです。

見え方を選択できる

多焦点眼内レンズには多くの種類があり、それぞれが特定の視力要件に合わせて設計されています。

自身のライフスタイル・活動レベル・視力のニーズなどに合わせて、最適な見え方のレンズを選択することが可能。

多焦点眼内レンズの主な種類は、以下の通りです。

  • 2焦点レンズ:遠・近の2箇所に焦点が合うレンズ
  • 3焦点レンズ:遠・中・近の3箇所に焦点が合うレンズ
  • 焦点深度拡張型レンズ:遠方から近方にかけて切れ目なく焦点が合うレンズ

多焦点眼内レンズのデメリット

多焦点眼内レンズのデメリット

最後に、多焦点眼内レンズのデメリットを紹介します。

単焦点レンズのメリットの裏返しになります。

複数の焦点に合わせることから、視力の安定に時間がかかったり、ハロー・グリア現象が発生しやすかったりする点がデメリット。

視力の安定に時間がかかる場合がある

多焦点眼内レンズは、遠方視と近方視の両方をカバーする性質から、見え方に慣れるまで時間がかかる場合があります。

細かいものを見たり本を読んだりする場合に、焦点が合うまでタイムラグが生じることが多いです。

多くの場合は、これらの症状は時間とともに軽減されます。手術後の適応期間について、事前に十分な説明を受け、理解することが必要。

多焦点眼内レンズでは、目の中に入る光を遠方用と近方用に振り分けます。遠方も近方も正常よりやや少ない光で見ることになり、コントラストが低下することがあります。

眼内レンズを選択する際は、自身のライフスタイルとの適合性を考慮することが重要です。

ハロー・グレア現象が夜間に発生しやすい

多焦点眼内レンズでは、夜間にハロー・グレア現象が発生することが多いです。

ハロー・グレア現象とは、前述のとおり、光に対する見え方に違和感を覚える症状で、多焦点眼内レンズの代表的な副症状となります。

ハロー・グレアが発生しやすいシーンは、瞳孔が大きくなる夜間・暗い場所。夜間の運転時の安全性に影響を与える可能性があります。

手術後、時間の経過とともに気にならなくなる場合が多いですが、どうしても慣れない人もいます。

事前にこのような症状が現れる可能性があることを十分に理解し、日常生活への影響を検討しておくことが重要です。

目などのコンディションを整えるストレスフリー療法

目などのコンディションを整えるストレスフリー療法

生活に支障がない白内障の初期段階では、一般的に進行抑制目的で点眼薬による治療が行われます。

初期段階において、全身の血流・自律神経を整え、目のコンディションを根本からサポートするストレスフリー療法が注目されています。

ストレスフリー療法とは

ストレスフリー療法とは、身体の特定の6点に直径1cmの導子をつけ、遠赤外線を30~60分照射する温熱療法。

ストレスホルモンの低減・血流の大幅な増加などの効果が確認されています。

高血圧・糖尿病・白内障・認知症・不眠症・冷え症など、さまざまな病気の症状を改善する効果が期待できます。

白内障の改善にも期待

眼球の中には、房水と呼ばれている体液が流れています。房水の役割は角膜・水晶体・硝子体などの組織に栄養を与えること。

全身の血流を良くすることにより、眼球中の房水の循環も高めます。

白内障の改善効果が期待できます。

まとめ

白内障手術に用いる眼内レンズのメリット・デメリットについて解説!のまとめ

今回は、白内障手術で使われる眼内レンズのメリット・デメリットを解説しました。

  1. 遠近どちらかにピントを合わせる単焦点眼内レンズと、遠近どちらにもピントが合う多焦点眼内レンズがある
  2. 単焦点眼内レンズのメリットは、保険適用・視力が早く安定しやすい・ハロー・グレアが生じにくい
  3. 単焦点眼内レンズのデメリットは、1点にしか焦点を合わせられない・日常生活でメガネが必要
  4. 多焦点眼内レンズのメリットは、メガネの使用頻度が下がる・さまざまな見え方が選択できる
  5. 多焦点眼内レンズのデメリットは、視力安定まで時間がかかりやすい・ハロー・グレアが生じやすい
  6. 白内障初期段階の治療法として、血流改善効果のあるストレスフリー療法にも期待

事前に医師とよく相談し納得したうえで、自身に最適な眼内レンズを選択してください。