Now Loading...

コラム

パーキンソン病における看護のポイントとは?看護の方法について解説!

2025年07月23日

パーキンソン病とは、手の震えなどの運動症状・便秘などの非運動症状が現れる神経変性疾患です。

今回パーキンソン病の看護について述べていきます。

看護と聞くと、看護師免許を持った専門職の仕事のイメージを持つ方が多いかもしれません。

そのような誤解を解く意味でも、まずは看護の定義から述べます。

日本看護協会によると、看護とは、「広義には、人々の生活の中で営まれるケア、すなわち家庭や近隣における乳幼児、傷病者、高齢者や虚弱者等への世話等を含むもの」とされています。

看護は、専門資格を持っている者だけが行えるのではなく、広く一般の方でもおこなえることをご理解ください。

パーキンソン病は、運動症状や精神症状が徐々に進行します。

看護をする際は、患者の症状の進行を理解し、安心して社会生活を継続できるよう支援することが重要。

この記事では、パーキンソン病における看護のポイントを紹介します。

監修者 佐藤琢紀(サトウ タクノリ)

監修者:佐藤琢紀(サトウ タクノリ)

銀座数寄屋橋クリニック院長

2004年東北大学医学部卒業後、国立国際医療センターで研修医として入職。2019年には国立国際医療研究センター国府台病院救急科診療科長に就任。18年間救急医として約36,000人の診療経験を通じ、現行医療の限界を認識。元氣で楽しい人生を歩むための戦略の重要性を感じる中、ストレスフリー療法と出会い、その効果に感銘を受ける。これを多くの人に広めるべく、2024年4月より銀座数寄屋橋クリニックでストレスフリー療法に特化した診療を行っている。

銀座数寄屋橋クリニックはこちら

パーキンソン病とは一体どんな病気なのか

パーキンソン病とは一体どんな病気なのか

パーキンソン病とは、振戦(震え)・筋固縮・動作緩慢・姿勢保持障害を主な運動症状とする進行性の病気です。

50歳以上で発症することが多い病気ですが、40歳以下で起こることもあり、若年性パーキンソン病と呼ばれます。

高齢になるほど発症率が高く、65歳以上では100人に1人程度。

2021年度の調査から、日本での患者数は約20万人と推定されています。

運動の制御に関わる神経伝達物質のドパミンは、中脳の黒質にあるドパミン神経細胞で作られます。

パーキンソン病になると、ドパミン神経細胞が減少し、ドパミンが十分に作られなくなります。

結果、運動の調節がうまくいかなくなるため、体の動きに障害が現れる点に注意が必要です。

パーキンソン病における看護の方法

パーキンソン病における看護の方法

パーキンソン病における看護のポイントは、患者の症状の進行を理解し、日常生活の自立を支援すること。

それぞれの患者に合わせた看護が必要です。

具体的には、日常生活の援助・精神面のサポート・家族への支援・薬物療法などが挙げられます。

情報収集・アセスメント

まず、情報収集とアセスメントをおこないます。

①情報収集

情報収集とは、適切な看護ケアを提供することを目的に、患者の身体的・心理的・社会的な状態を把握するための情報を集めることです。

パーキンソン病の発症年齢や症状の進行状況、生活状況、家族構成、精神状態など、多岐にわたる情報を記録・本人・家族・医療または介護スタッフなどから収集します。

②アセスメント

アセスメントとは、患者の現状を把握するために、収集した情報をもとに分析や評価をおこなうことです。

患者の抱える問題点やニーズを明確にし、適切な看護計画を立てる基礎となります。

パーキンソン病では、Hoehn-Yahr重症度分類・生活機能障害度を用いて重症度を評価します。

移動の看護

パーキンソン病では、すくみ足・小刻み歩行・突進歩行を特徴とする歩行障害がみられることがあります。

歩行による移動時には、転倒しないよう付き添いが必要です。

パーキンソン病では、手がかり(キュー)の活用が効果的とされています。

例えば、「いっち、に、いっち、に、……」などのようなリズムで声をかける聴覚の手がかり(サウンド・キュー)・床に引いた横線の目印をまたぐ視覚の手がかり(ビジュアル・キュー)が有効です。

前かがみの姿勢になりやすいため、適宜姿勢を直すように声がけを心がけましょう。

食事の看護

パーキンソン病では、嚥下障害が多くみられます。

誤嚥性肺炎が起こりやすいです。

誤嚥性肺炎による死亡例も多いので、注意しなければなりません。

看護するときには、安全に経口摂取が継続できるように、嚥下障害の早期発見が大切です。

誤嚥防止のためには、以下の項目を心がけましょう。

  • 刻み食やミキサー食などを飲み込みやすい形にする・とろみをつける
  • 寝たきりの場合はリクライニングで適度な角度を保つなど、食事の姿勢に注意をする
  • 嚥下機能を改善するためのリハビリテーションを行う
  • 口の中を清潔に保つ

清潔ケア

パーキンソン病で体がうまく動かない方でも、入浴により身体の清潔を保持することは重要です。

一般的に、入浴には清潔保持以外に、リラックス・疲労回復など、多くの効果があるとされています。

パーキンソン病患者の入浴は、筋肉の固縮をやわらげ、自律神経障害による冷えの改善などにもつながります。

安心して入浴するため、以下のような安全対策が必要。

  • 浴室の床にすべり止めマットを敷いたり、立ち上がりやすいようシャワーチェアーを利用する
  • 転倒を防止したり衣類の脱着をしやすくするため、脱衣場にもいすを置く
  • 冬場はヒートショックを起こしやすいので、脱衣場に暖房器具を設置する

排泄ケア

パーキンソン病は自律神経障害を伴うことが多く、便秘や頻尿、排尿困難などの排泄障害が起こりやすいです。

便秘はパーキンソン病患者の大半にみられる症状のため、食物繊維の多い食事や水分補給、適度な運動などで改善を心がけましょう。

トイレ環境を整える際のポイントは、以下のとおり。

  • 洋式トイレの設置:和式トイレよりも立ち座りが楽です
  • 手すりの設置:移動や立ち座りの際に、安定します
  • 明るい照明:つまずきによる転倒のリスクを減らすことができます
  • 自動洗浄:排泄後の洗浄を自動で行うことで、快適に過ごせます
  • 非常ブザーの設置:転倒や体調不良時などに、周囲に助けを求めやすくなります

事故の防止

パーキンソン病患者の転倒は、屋外だけではなく室内でもよく起こります。

室内の危険ポイントを改善することが重要です。

基本は以下のとおり。

①段差をなくす

敷居の段差をスロープで埋め、カーペットや畳のヘリをテープで固定。

②ドアは引き戸にする

ノブをレバーや取っ手に変更。

③手すりを設置する

玄関や寝室、浴室、トイレなどの立ち上がる動作が必要な場所に、L字型の手すりを設置。

④テープガイドを貼る

階段の段ごとや廊下の30~40cmの一定間隔に、またぐ目印となるテープを貼り、転倒を対策。

⑤足元にライトをつける

廊下や階段、手すりの足元にライトをつけることで、転倒を対策。

精神症状に関するサポート

パーキンソン病は、脳の神経伝達物質ドパミンの減少によって引き起こされる神経変性疾患です。

ドパミンは運動機能だけでなく、感情や意欲にも関与します。

患者はうつ病や不安障害、アパシー(無気力)などの精神的な症状を抱えることがあります。

患者の心のケア方法は、以下のとおり。

①コミュニケーションをとる

患者の話にじっくり耳を傾けることが大切です。

否定的な感情も受け止め、共感することで安心感を与えられます。

②環境を整える

患者がリラックスできる空間を提供しましょう。

③趣味や活動を促す

好きなことや興味のあることに取り組めば、気分転換になり意欲の向上につながります。

④規則正しい生活を心がける

睡眠や食事のリズムを整えることにより、心身の安定に役立ちます。

⑤専門家のサポートを受ける

精神症状が強い場合は、精神科医やカウンセラーなどの専門家に相談しましょう。

家族に対するサポート

パーキンソン病の家族への支援として、公的支援制度の活用が挙げられます。

パーキンソン病は根本的な治療法がなく、長期にわたる治療が必要なため、経済的負担や介護負担が大きくなります。

そのため、以下のような制度に関する情報を家族に提供し、積極的に活用することが大切。

①指定難病患者への医療費助成制度

指定難病と診断され重症度が一定以上の場合、医療費の一部が助成されることがあります。

②介護保険制度

要介護認定を受ければ、多種多様な介護保険サービスを利用できます。

③身体障害者福祉法

身体障害者手帳の交付を受ければ、税金の減免や公共交通機関の割引などを受けることができます。

④障害者総合支援法

障害福祉サービスを利用できます。

⑤成年後見制度

財産管理などが難しい場合に成年後見人を立てることができます。

薬物療法

現在のところパーキンソン病の原因は脳のドパミン欠乏と考えられているため、治療は薬によりドパミンの働きを補うことが主体。

治療に用いられる代表的な薬剤を紹介します。

症状や進行度に合わせて、これらの薬や他の薬を組み合わせます。

①レボドパ(L-dopa)

レボドパは脳内でドパミンに変化して作用します。

治療効果が高く、速効性に優れている点が特徴。

作用時間が短いことが欠点です。

②ドパミンアゴニスト

ドパミンアゴニストはドパミンに似た作用をもつ薬です。

治療効果がやや弱い反面、徐々に効きます。

1日1回の服用で安定した効果を得られます。

レボドパに比べ、悪心や低血圧などの副作用が出やすいことが欠点です。

パーキンソン病の治療をサポートするストレスフリー療法

パーキンソン病の治療をサポートするストレスフリー療法

ストレスフリー療法とは、身体の特定の6点に直径1cmの導子をつけ、遠赤外線を30~60分照射する温熱療法。

全身の血流や自律神経を整えることにより、高血圧や糖尿病、認知症、不眠症、冷え症、白内障など、さまざまな病気の予防・改善効果が期待できます。

ストレスフリー療法により、パーキンソン病の症状が大きく改善した実例が報告されています。

気になる方はストレスフリー療法を一度チェックしてみてください。

成長ホルモンの分泌亢進・新発見の体表点への熱刺激による脳への大幅な血流増加に加え、細胞の若返りなどにより、中脳の黒質の脳細胞が正常化し、ドパミンの分泌が改善しているのではないかと考えられています。

まとめ

パーキンソン病における看護のポイントとは?看護の方法について解説!のまとめ

今回は、パーキンソン病とは何かから始まり、看護の方法について詳しく解説しました。

看護のポイントは、患者の症状の進行を理解し、日常生活の自立を支援することです。

看護には、移動や食事、入浴、排泄などの日常生活の援助や精神面のサポート、家族への支援、そして薬物療法などがあります。

ストレスフリー療法によりパーキンソン病の症状が改善する効果が認められています。

この記事が、パーキンソン病の看護についての理解の一助になれば幸いです。