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コラム

パーキンソン病発症後の胃ろう手術とは?術後の余命や後遺症、費用について詳しく解説!

2025年09月11日

パーキンソン病で胃ろうの手術をした場合、余命はどのくらいなのでしょうか?

パーキンソン病では、嚥下障害の症状がみられることがあり、それに伴う誤嚥性肺炎のリスクもあるため、「胃ろう」手術が行われることがあります。

この記事では、パーキンソン病や胃ろうの基本事項から、パーキンソン病患者が胃ろう手術をした場合の余命、パーキンソン病の治療法などを解説します。

パーキンソン病患者の余命について知りたい方におすすめの内容です。

監修者 佐藤琢紀(サトウ タクノリ)

監修者:佐藤琢紀(サトウ タクノリ)

銀座数寄屋橋クリニック院長

2004年東北大学医学部卒業後、国立国際医療センターで研修医として入職。2019年には国立国際医療研究センター国府台病院救急科診療科長に就任。18年間救急医として約36,000人の診療経験を通じ、現行医療の限界を認識。元氣で楽しい人生を歩むための戦略の重要性を感じる中、ストレスフリー療法と出会い、その効果に感銘を受ける。これを多くの人に広めるべく、2024年4月より銀座数寄屋橋クリニックでストレスフリー療法に特化した診療を行っている。

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パーキンソン病とは一体どんな病気なのか

パーキンソン病とは一体どんな病気なのか

①概要

「パーキンソン病」とは、手の震えや筋肉のこわばりなどの症状が現れる進行性の病気です。

50歳以上で発症することが多い病気ですが、40歳以下で起こることもあり「若年性パーキンソン病」と呼ばれます。

高齢になるほど発症率が高く、65歳以上では100人に1人程度です。2021年度の調査から、日本での患者数は約20万人と推定されます。

②原因

運動の制御に関わる神経伝達物質「ドパミン」は、中脳の「黒質」にあるドパミン神経細胞で作られます。パーキンソン病になるとその神経細胞が減少し、ドパミンが十分に作られなくなります。

その結果、運動の調節がうまくいかなくなり、体の動きに障害が現れるのです。

胃ろうとは

胃ろうとは

「胃ろう」とは、手術で腹部に小さな穴を開け、カテーテルを通して胃から直接栄養を摂取するための医療措置です。

病気や加齢により口から食事が摂れなくなったときに、口以外から栄養を補給する方法のひとつです。

胃ろうの手術は、一般的にリスクが少ない内視鏡を用いる方法で行われます。「経皮内視鏡的胃ろう造設術(PEG)」と呼ばれ、通常は15~30分程度の手術です。

胃ろうの対象者は、腸管の機能は問題ないものの、嚥下機能の低下や重度の認知症、食道のがんなどによる物理的な閉塞などにより、口から食事を摂ることが難しい人です。死亡例も多い「誤嚥性肺炎」のリスクを減らせます。

パーキンソン病患者では、嚥下障害およびそれに伴う栄養不良の問題や、薬の内服管理の問題から、胃ろう造設が検討されることがあります。

パーキンソン病発症後に胃ろうの手術をおこなった場合の余命

パーキンソン病発症後に胃ろうの手術をおこなった場合の余命

パーキンソン病患者が胃ろうの手術を行った場合、余命はどれぐらいなのでしょうか。

胃ろうを造設すれば、確実に食事の摂取や薬の服用ができるようになるため、生活の質を大きく改善できます。

しかし、病気がさらに進行すると、誤嚥性肺炎を繰り返すようになります。その原因は、唾液や逆流した胃内容物の誤嚥です。

パーキンソン病患者の胃ろう造設後の余命は、病状や年齢、健康状態などによって大きくばらつきます。ある病院のデータでは、中央値で「約2年」という結果でした。

パーキンソン病患者に限定しない場合の胃ろう手術後の平均余命は、「約3年」です。

ちなみに、パーキンソン病患者の平均余命は、一般と比べて2~3年短い程度といわれています。

胃ろうの手術後の余命に関わるポイント

胃ろうの手術後の余命に関わるポイント

胃ろう造設手術後の余命は、患者の基礎疾患や身体の状態などによって大きく異なります。

以下、「認知症」・「寝たきり」・「脳梗塞」の3つの症状ごとに、余命について詳しく解説します。

認知症

認知症患者の場合、嚥下機能の低下や食欲不振、多動などの症状により、口からの食事が困難になって胃ろうが検討されることがあります。

近年は、特に重度の認知症患者の場合、「胃ろう造設による延命効果は限定的」という報告が増えており、多くの専門家は否定的です。

また、認知症の場合、胃ろうを嫌がってカテーテルを自己抜去するリスクが高く、身体の拘束が必要になる場合もあります。

そのため、胃ろうにするかどうかは、家族や医療・介護スタッフでよく話し合い納得のいく結論を出すことが重要です。

寝たきり

アメリカでの研究によると、寝たきり状態で胃ろう手術をした後は、41%の患者が90日以内に亡くなり、60%の患者が1年以内に亡くなったと報告されています(調査対象6,709人)。

寝たきりの状態が長期間になると、合併症のリスクが高くなることが原因と考えられます。そのため、寝たきりの方に多い床ずれや誤嚥性肺炎などの予防が重要です。

定期的な体位変換や口腔ケアなどを行うことで、合併症の予防につながり余命が延びる可能性があります。

脳梗塞

脳梗塞も、胃ろう手術後の余命に関係します。

イギリスで行われた調査によると、脳梗塞の患者の胃ろう造設後の平均余命は、「約2ヶ月(53日)」です。

調査対象37人の余命の範囲は、2~528日と非常に広い結果になりました。3ヶ月以上生存した患者は12人です。

脳梗塞の胃ろうでは、重症度や年齢、合併症の有無などによって大きく余命が変動するのが特徴です。

適切な治療と栄養管理を組み合わせると、予後が改善される可能性があります。

胃ろうにかかる費用

胃ろうにかかる費用

胃ろうにかかる費用では、「手術」「入院」「カテーテル交換」「栄養剤(医薬品の場合)」「診察料」には保険が適用され、年齢や所得に応じて1~3割の自己負担です。

胃ろう造設後は、カテーテル交換の費用や栄養剤代、訪問診療代が定期的にかかります。

以下、自己負担割合が1割の場合の費用の目安です。

① 手術費: 約1万円

② 栄養剤代+訪問診療代:月あたり約2~3.5万円

③ カテーテル交換費用(バルーン型):1回約1,000円(1~2ヶ月ごとに交換)

④ カテーテル交換費用(バンパー型): 1回約2,200円(6ヶ月ごとに交換)

パーキンソン病の治療法

パーキンソン病の治療は、「薬物治療」と「リハビリ」の組み合わせが基本です。

しかし、薬を一定期間以上服用し副作用がみられるようになった場合などには、「手術」が行われることがあります。

ここでは、治療法で一般的な「薬物治療」や「手術」、「リハビリ」、さらにパーキンソン病の症状改善効果が期待できる「ストレスフリー療法」についても解説します。

薬物治療

パーキンソン病の原因は脳のドパミン欠乏なので、治療は薬によりドパミンの働きを補うことが主体です。

以下に代表的な2剤を紹介します。症状や進行度に合わせて、これらの薬や他の薬を組み合わせて使います。

① レボドパ(L-ドパ)

脳内でドパミンに変化して作用します。治療効果が高く、速効性に優れているのが特徴ですが、作用時間が短いことが欠点です。

② ドパミンアゴニスト

ドパミンに似た作用をもつ薬です。治療効果がやや弱いのですがゆっくり効くので、1日1回の服用で安定した効果を得られます。レボドパに比べ、悪心や低血圧などの副作用が出やすいのが欠点です。

手術

薬物治療の副作用が強かったり、症状のコントロールが難しかったりする場合には、手術が選択されることがあります。

現在主流となっている「脳深部刺激療法」は、脳の奥のドパミンに関係する部位に電極を埋め込み、弱い電気刺激を与えることで、症状を抑える治療法です。特に、「視床下核刺激術」が多く行われます。

手術によりパーキンソン病が完治することはありません。症状をコントロールし、リハビリも行いながら、生活の質を向上させることが目的です。

リハビリ

パーキンソン病のリハビリは、薬物治療と組み合わせることで、運動機能の維持・改善、日常生活動作の向上、そして生活の質を高めることが目的です。

筋力トレーニングやストレッチ、歩行練習、バランス訓練、嚥下訓練、構音訓練など、さまざまな種類のリハビリが行われます。また、日常生活の中で意識的に体を動かすことも重要です。

パーキンソン病において、リハビリは症状の進行を遅らせ、身体機能を維持して日常の動作を行いやすくするために非常に重要とされています。

理学療法士や作業療法士、言語聴覚士といったリハビリ専門職の指導のもとで、それぞれの患者に合ったプログラムに取り組むことが大切です。

ストレスフリー療法

「ストレスフリー療法」とは、身体の特定の6点に直径1cmの導子をつけ、遠赤外線を30~60分照射する温熱療法です。

これにより、全身の血流や自律神経を整え、高血圧や糖尿病、認知症、不眠症、冷え症、白内障など、さまざまな病気の予防・改善効果が期待できるのです。

また、ストレスフリー療法により、パーキンソン病の症状が大きく改善した実例が報告されています。

その理由として考えられるのは、「成長ホルモンの分泌亢進」と、新発見の体表点への熱刺激による「脳への大幅な血流増加」により、中脳の黒質が修復再生し、ドパミンの分泌が増えたことです。

「銀座数寄屋橋クリニック」はストレスフリー療法に特化した治療を提供しています。

公式サイトにて、詳しい情報をご覧いただけます。

まとめ

まとめ

今回は、パーキンソン病で胃ろう手術をした場合の余命などを解説しました。

パーキンソン病では、嚥下障害およびそれに伴う誤嚥性肺炎の問題から、胃にカテーテルを挿入して栄養剤を注入する「胃ろう」が検討されることがあります。

パーキンソン病で胃ろう手術をした場合の余命は、約2年とされています。

胃ろうの手術費用は保険適用で、1割負担の場合は1万円程度です。

パーキンソン病の治療法は、薬物療法とリハビリがメインで、場合によって手術を行います。また、症状を改善する効果が期待できる「ストレスフリー療法」もあります。

この記事により、パーキンソン病の余命についての理解の一助になれば幸いです。