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コラム

白内障の手術後のトラブルは一体何か?手術後の注意点についても解説

2025年05月30日

「白内障の手術後のトラブル」は一定の割合で起こりうるものですが、過剰に恐れる必要はありません。

目の水晶体が混濁する「白内障」が進行した場合は、手術が必要です。現在は手術の安全性は高いですが、目にメスを入れるため、多少のリスクはあります。「見え方が期待どおりでなかった」などの不満を感じる方もいます。

この記事では、白内障の手術後のトラブル例・手術後の注意点・白内障の初期段階で効果が期待できる「ストレスフリー療法」について解説します。

監修者 佐藤琢紀(サトウ タクノリ)

監修者:佐藤琢紀(サトウ タクノリ)

銀座数寄屋橋クリニック院長

2004年東北大学医学部卒業後、国立国際医療センターで研修医として入職。2019年には国立国際医療研究センター国府台病院救急科診療科長に就任。18年間救急医として約36,000人の診療経験を通じ、現行医療の限界を認識。元氣で楽しい人生を歩むための戦略の重要性を感じる中、ストレスフリー療法と出会い、その効果に感銘を受ける。これを多くの人に広めるべく、2024年4月より銀座数寄屋橋クリニックでストレスフリー療法に特化した診療を行っている。

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白内障の手術後のトラブル

白内障の手術後のトラブル

白内障が進行し生活に支障がある場合は、視力回復目的で手術が行われます。

具体的には、混濁した水晶体を取り除き、人工水晶体である「眼内レンズ」を挿入する方法です。

痛みはほぼなく、短時間かつ安全な手術で、毎年多くの方が快適な生活を取り戻しています。

しかし、白内障の手術後のトラブルはゼロではありません。以下、トラブル例を紹介します。

見え方の違和感

まずは、「見え方に違和感がある」というものです。多くは一時的なもので、時間とともに解消していきますが、気になる方は医師に相談してください。

① まぶしく感じる(グレア)

術後は、ほとんどの方がまぶしく感じます。これは水晶体の濁りがなくなったことによるものです。

② 光の周辺に輪が見える(ハロー)

術後に光の周辺に輪が見える場合があります。これは眼内レンズに光が反射することで起こる現象。夜間に車のライトを見た場合などによく起こります。

③ 視界が青っぽく見える

術後は以前より青っぽく見える場合があります。水晶体は加齢とともに黄色味を帯びますが、眼内レンズに代わることで青色の光が入りやすくなるためです。

吐き気・頭痛

手術後に眼圧が上がり、「吐き気・頭痛」などが生じることもあります。

術後検診で眼圧が高いと診断されたら、眼圧を下げるための点滴・点眼薬や飲み薬などを処方します。多くの場合は一過性のもの。日数が経つにつれて眼圧は低下し、正常な状態に戻っていきます。

白内障が高度に進行していた方をはじめ、緑内障・ぶどう膜炎・糖尿病網膜症などの既往のある方は眼圧上昇により目に障害が起こる可能性があるため、注意が必要です。

目の乾き

「目の乾き(ドライアイ)」やそれに伴う角膜上皮障害は、白内障手術後の合併症のひとつです。

通常は点眼加療を行うなどの対処で時間とともに改善しますが、中には重篤なケースもあります。手術による侵襲や術中に用いる眼潅流液などの影響が考えられていますが、原因はいまだ未解明。

手術中には、眼潅流液が貯留して視認性が下がるのを防ぐため、吸引式の開瞼器を用いることがあります。吸引式の開瞼器の使用が、ドライアイの一因となる場合があることも報告されています。

手術前に比べて近くのものが見えにくくなった

「手術前に比べて近くのものが見えにくくなった」あるいは「以前は見えていた遠くのものが見えなくなった」というケースもあります。

前者は、もともと手元にピントが合っていた近視の方が手術後はメガネなしで遠くを見たいという希望のもと、「単焦点眼内レンズ」で遠方にピントを合わせたことが原因です。後者は、逆に遠視の方が「単焦点眼内レンズ」で近方にピントを合わせたことが原因です。

手術前における担当医の説明不足や患者とのコミュニケーション不足により、このようなトラブルが起こりやすくなります。

手元も遠くも裸眼で見たい場合、「多焦点眼内レンズ」の使用を検討しましょう。

眼内レンズの傾き

白内障手術後に、「眼内レンズの傾き・脱臼」が起こることもあります。

加齢や外傷などにより、水晶体嚢を支えるチン小帯が劣化して、眼内レンズが傾いたり外れたりすることです。再度の手術が必要になります。

再手術では、眼内レンズとともに水晶体嚢も取り除かれるため、新しい眼内レンズは眼の中に縫い付けるなど、特殊な方法で固定します。

白内障手術後に突然視力が悪化した場合は、すぐに眼科を受診してください。

飛蚊症になる場合がある

手術後に、「飛蚊症」が現れることもあります。

視界に黒いものが飛んでいるように見える症状。特に、白い壁や空を見たときに意識することが多いです。手術により水晶体の濁りがなくなると、硝子体の濁りを自覚しやすくなるために起こります。

多くの場合、2~3ヶ月程度で気にならなくなることが多いです。網膜剥離などの前兆である場合もあるため、気になる場合は眼科で検査を受けましょう。

後発白内障になる場合がある

白内障手術後、数ヶ月から数年で水晶体後嚢が濁る「後発白内障」が現れる場合があります。

手術で混濁した水晶体を取り除くため、まず水晶体前嚢を切開。その後、水晶体を超音波で破砕して吸引し、水晶体嚢の中に眼内レンズを挿入します。嚢の内側に残った水晶体上皮細胞が水晶体後嚢に広がり、変性を起こし濁らせることがあります。

進行すると、視力が低下するため、注意が必要。

白内障手術後に一定の割合で認められる合併症ですが、5分程度のレーザー治療で改善することができます。

白内障の手術後の注意点

白内障の手術後の注意点

白内障の手術自体は短時間で日帰りも可能ですが、手術後の注意点が複数存在します。

医師の指示に従い、定期的に眼科に通いながら、処方された点眼薬も使用しなければなりません。

目の表面の傷は数日残ります。しばらくは目の周囲に刺激を与える行為・細菌感染の可能性がある行為などは控えることが重要です。

手術後から1週間以内は目に刺激を与えない

手術後、1週間は目の周囲に刺激を与える行為は避けなければなりません。

目をこすらないように注意し、眼帯や保護メガネを着用してホコリや紫外線などからも保護しましょう。

感染症を防ぐため、1週間は洗顔や洗髪、入浴を控えてください。

洗顔については、「絞ったタオルで拭く」のは当日からでも構いません。洗顔の許可が出ても、目を圧迫したりしないよう注意が必要。

洗髪も1週間後から可能ですが、シャンプーなどが目に入ることを防ぎます。

入浴は「首から下のシャワー」を浴びるのは当日あるいは翌日から可能ですが、浴槽につかるのは1週間控えてください。

定期的に眼科に受診する

医師の指示に従い、定期的に手術を受けた眼科を受診してください。

手術後には、手術翌日・1週間後・1ヶ月後・3ヶ月後など定期的な検診が必要です。術後に何か問題は無いか、見え方が回復しているかなどを確認します。

術後早い段階で起きる感染症や炎症を見つけるため、2~3日後の受診を指定されることもあります。

また、高齢の方や持病のある方など、特にリスクが高い場合は、受診間隔が細かく設定されます。

指定された受診日以外でも、困ったことがあれば早めに医師に連絡しましょう。

一定期間にわたって激しいスポーツを控える

手術後、血圧が上がるような激しいスポーツや重い荷物を持ち上げるなどの動作は一定期間控えるよう指導されることが多いです。

術後間もない時期に急な血圧上昇が起こると、目の奥で出血を引き起こす可能性があるため。失明につながる危険性もあるので、術後しばらくは安静に過ごしてください。

スポーツを再開するタイミングは、主治医に相談しましょう。

水泳の際は感染予防のためにゴーグルを着用してください。砂が目に入ったり目を打ったりする可能性があるスポーツも手術後1ヶ月経過するまでは控える必要があります。

見え方が安定するまで車の運転を控える

交通事故を起こさないためにも、見え方が安定するまでは車の運転を控えましょう。

視力の回復には個人差がありますが、原則として手術直後の車の運転は禁止です。手術後1週間程度で眼帯または保護メガネが取れるタイミングか医師の許可が下りるまで待ちましょう。

また、手術前とは見え方が変わるため、運転再開後はいきなり遠出をしたり夜間に運転したりするのではなく、近所の買い物程度から徐々に慣らすことがポイント。

医師の指示に従って点眼薬を用いる

白内障手術後は、医師の指示に従って処方された点眼薬を使用しなければなりません。

点眼薬は抗菌薬・ステロイド性抗炎症薬・非ステロイド性抗炎症薬の3種類です。これらを1日2~4回、3ヶ月程度使用するケースが一般的。

複数の点眼薬を1日に何度も差すことを長期間続けるため、根気が必要です。

術後の感染症や炎症などのトラブルを防ぐためにも、指示通りに点眼を続けてください。

全身のコンディションを整えるストレスフリー療法

全身のコンディションを整えるストレスフリー療法

近年は、白内障の初期段階において、全身の血流や自律神経を整えて目のコンディションを根本からサポートする「ストレスフリー療法」も注目されています。

医師と相談しながら、進行度や症状に応じて、最適な治療法を選ぶことが重要です。

ストレスフリー療法とは

「ストレスフリー療法」とは、身体の特定の6点に直径1cmの導子をつけ、遠赤外線を30~60分照射する温熱療法です。

ストレスホルモンの低減・血流の大幅な増加といった効果が確認されています。

高血圧・糖尿病・白内障・認知症・不眠症・冷え症など、さまざまな病気の症状を改善する効果が期待できます。

白内障の治療にも期待

眼球の中には「房水」という体液が流れており、角膜や水晶体、硝子体などの組織に栄養を与える役割を担っています。

身体全体の血流を良くし、眼球中の房水の循環も高めることにより、白内障の改善効果が期待できます。

まとめ

白内障の手術後のトラブルは一体何か?手術後の注意点についても解説のまとめ

今回は、白内障の手術後のトラブルを詳しく解説しました。

  1. トラブル例は、「見え方に違和感」・「眼圧上昇」・「ドライアイ」・「眼内レンズの傾き・脱臼」・「飛蚊症」・「後発白内障」など
  2. 手術後の注意点は、「目を刺激しない」・「定期的な眼科受診」・「激しいスポーツ・運転を控える」・「点眼薬を一定期間使用」
  3. 初期段階の治療法として、血流改善効果のある「ストレスフリー療法」にも期待

今回紹介した術後のトラブルは、一時的なものや簡単な治療で解消できる場合が多いです。

白内障手術は基本的に安全でメリットも多いため、医師とよく話し合って安心して手術を受けてください。