白内障の「原因」を知ることで、その予防につなげられます。

白内障の最大の原因は加齢です。それ以外にも、他の病気、薬の副作用、外傷、紫外線など、さまざまなものが、白内障の原因になりうることがわかっています。

この記事では、白内障のさまざまな原因と、白内障の初期段階で効果が期待できる「ストレスフリー療法」について解説します。

白内障の予防のため、どのような原因があるのかを知りたい方に、おすすめの内容です。

白内障とは一体何か

「白内障」とは、加齢などのさまざまな原因により、目の「水晶体」が混濁する病気です。

水晶体は、目の中でカメラのレンズのような役割を担い、外からの光を集めてピントを合わせています。

水晶体が濁ることで光が通りにくくなった結果、ピントの調整機能が低下。周囲がかすんで見えるなど、視力に影響が出ます。

視力が低下しても、通常の近視や老眼ならば、メガネやコンタクトレンズで矯正することができます。

白内障の場合、「メガネやコンタクトレンズを使ってもよく見えないまま」になる点が特徴です。

白内障の原因は一体何か

白内障の原因には、さまざまなものがあります。

最大の原因は加齢によるものです。それ以外の原因には、他の病気やステロイド剤、紫外線、外傷、喫煙、飲酒などがあります。

ここでは、白内障の主な原因を取り上げて、詳しく解説していきます。

加齢

白内障の90％以上が「加齢」によるものです。「加齢性白内障」と呼ばれます。

早い人では40代から発症し、60代では66～83％、80代以降ではほぼ100％の人で、初期症状が認められたというデータがあります。

長年の紫外線暴露などの外部刺激により、水晶体のタンパク質が酸化することなどが原因と考えられています。

加齢性白内障は、水晶体の周囲から濁りが生じ、徐々に中心に向かって進行するのが一般的です。初期の頃は自覚症状がほとんどない場合が多く、手術のタイミングが遅くなることもあります。

紫外線

「紫外線」も白内障を発症する原因のひとつ。

地上に届く紫外線には、UV-AとUV-Bがあり、白内障の原因となるのはUV-Bです。

UV-Bは、エネルギーが強く日焼けの主な原因で、肌細胞やDNAにダメージを与え、シミやシワ、炎症、皮膚がんの原因になります。また、活性酸素により水晶体のタンパク質を酸化させ、白内障を引き起こすとされています。UVカットのサングラス着用などの対策が必要です。

ちなみに、UV-Aは波長が長く、網膜に到達すると損傷を引き起こすことがあります。雲や窓ガラスも透過するので、曇りの日や日当たりの良い家の中でも注意が必要です。

外傷

「外傷」により発症する白内障が「外傷性白内障」です。

外傷には、目の周りに物をぶつけるなどの「鈍的外傷」と、異物が角膜を貫通して水晶体を損傷する「穿孔性外傷」があります。年齢にかかわらず発症するリスクがあるので、注意が必要。

外傷性白内障は、発症するまでに数年かかる場合もあります。そのため、目を強くぶつけたり、ガラス片などが入ったりした場合には、目立った症状が現れていなくても眼科を受診し、経過を観察しましょう。

糖尿病

「糖尿病」の合併症として、白内障が引き起こされることがあります。これは「糖尿病性白内障」と呼ばれ、若い年代でも発症率が高く、進行スピードがはやいことが特徴です。

糖尿病により血糖値のコントロールが不安定になると、糖アルコールの一種ソルビトールが水晶体の中に蓄積され、白内障の原因になると考えられています。

糖尿病は白内障以外にも、糖尿病網膜症という合併症のリスクも高いです。糖尿病の方は、眼科の定期的な受診をおすすめします。

ステロイド薬

「ステロイド薬」は、アトピー性皮膚炎やアレルギー疾患の治療など幅広い用途で使われている薬。長期にわたり大量に使用すると、「ステロイド白内障」を発症するリスクが高まると言われています。

ステロイド薬の副作用で白内障を発症するメカニズムは、十分には解明されていません。進行スピードがはやい「後嚢下白内障」の発症が多いことが特徴です。

ステロイド白内障は、点滴や飲み薬よりも、目薬や目への注射などでステロイド薬を使用したときの方が発症しやすいことがわかっています。目に使用している方は、定期的な検査をおすすめします。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎の合併症として、「アトピー性白内障」があります。

アトピー性皮膚炎の多くは乳児期に発症し、その10～15年後に白内障の症状が現れるケースが多いです。そのため、アトピー性白内障は若い世代に多く認められます。

また、水晶体の中心部から混濁することが多く、進行スピードが早いことも特徴です。

アトピー性皮膚炎が白内障の原因となるメカニズムは、はっきりとは解明されていません。

治療に使用される「ステロイド薬」の副作用が原因のひとつと考えられています。かゆみにより目の周りをこすったり叩いたりすることも、影響している可能性があるとも考えられています。

飲酒

白内障には、「飲酒」も影響することが近年わかってきました。

2022年に、日本人の飲酒習慣と白内障手術のリスクとの関係についての研究論文が発表されています。

それによると、「飲酒頻度が高い」・「１日当たりの飲酒量が多い」・「累積飲酒量が多い」人ほど、白内障手術を受けた人の割合が高い傾向にありました。

以下、飲酒習慣のない人と比較した場合の白内障手術のリスクです。

• 週に4～7日飲酒する人のリスクは1.3倍
• １日当たりの飲酒量が純アルコール換算で20g（日本酒なら１合、ビールなら500ml相当）以下の人でも1.13倍

この結果から、「少量でも、飲酒により白内障のリスクが高まる可能性がある」と言えます。

喫煙

「喫煙」により、白内障のリスクが高くなるとされています。

その詳細なメカニズムはわかっていません。ニコチンが目の周りの毛細血管を収縮させて血流を悪化させるなど、さまざまな原因が考えられています。

スウェーデンの男性について行われた2013年の研究によると、以下のような結果でした。喫煙は確実に白内障のリスクを高め、禁煙しても長期間リスクは高いままといえそうです。

• 1日15本以上タバコを吸う人は、喫煙経験のない人と比べて、白内障手術のリスクが42％高い
• 禁煙から20年以上経過しても、白内障手術のリスクは21％高い

過去に白内障の手術を受けている場合

白内障手術の副作用として、手術後数ヶ月から数年で、水晶体後嚢が濁る「後発白内障」が現れることがあります。

手術では、混濁した水晶体を取り除くために水晶体前嚢を切開。その後、水晶体を超音波で破砕して吸引し、水晶体嚢の中に眼内レンズを挿入します。このとき、嚢の内側に残った水晶体上皮細胞が、水晶体後嚢に広がって変性を起こし濁らせる場合がある点に注意が必要です。進行すると視力が低下。

白内障手術後に一定の割合で認められる合併症ですが、5分程度のレーザー治療で改善することができます。

目のコンディションをサポートするストレスフリー療法

一般的に、白内障の治療法は、初期段階では進行抑制目的の「薬物治療」が、進行した段階では視力回復目的の「手術」が選択されます。

近年は初期段階において薬に頼らず、血流や自律神経を整えて目のコンディションをサポートする「ストレスフリー療法」も注目されています。

治療法を選択する際には、医師と相談のうえ、ご自身に最適な方法を選ぶことが重要です。

ストレスフリー療法とは

「ストレスフリー療法」とは、身体の特定の6点に直径1cmの導子をつけ、遠赤外線を30～60分照射する温熱療法です。

これにより、「ストレスホルモンの低減」・「血流の大幅な増加」といった効果が確認されています。そのため、高血圧や糖尿病、白内障、認知症、不眠症、冷え症など、さまざまな病気の症状を改善する効果が期待できるのです。

白内障の治療にも期待

眼球の中には「房水」という体液が流れており、角膜や水晶体、硝子体などの組織に栄養を与える役割を担っています。

「ストレスフリー療法」は身体全体の血流を良くし、眼球中の房水の循環も高めることにより、白内障の改善効果が期待できます。

まとめ

今回は、白内障のさまざまな原因を詳しく解説しました。

1. 「白内障」とは、目の「水晶体」が濁る病気
2. 多くの場合は「加齢」が原因
3. それ以外の原因は、「紫外線」・「外傷」・「糖尿病」・「ステロイド剤」・「アトピー性皮膚炎」・「飲酒」・「喫煙」・「白内障の手術歴」など
4. 初期段階の治療法として、血流改善効果のある「ストレスフリー療法」にも期待

この記事が、みなさまの白内障予防の意識を高めるキッカケになれば幸いです。