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コラム

白内障とは一体どんな病気なのか!気になる症状や特徴、治療法について解説

2025年05月29日

「白内障とは?」という疑問に、基礎からわかりやすくお答えします。

白内障は、放置せずに治療を受ければ失明する可能性は低いものの、進行した場合は「手術」が必要ですが、昔と比べて短時間かつ安全な手術を受けられ、視力回復も早くなりました。

また、近年は初期段階では「薬物治療」以外に「ストレスフリー療法」という選択肢もあります。

この記事では、白内障について、症状や原因、治療法、予防法などを、網羅的に解説します。

白内障の基本的な知識を得たい方から、ご自身や身内の方に症状があって治療法を知りたい方まで、おすすめの内容です。

監修者 佐藤琢紀(サトウ タクノリ)

監修者:佐藤琢紀(サトウ タクノリ)

銀座数寄屋橋クリニック院長

2004年東北大学医学部卒業後、国立国際医療センターで研修医として入職。2019年には国立国際医療研究センター国府台病院救急科診療科長に就任。18年間救急医として約36,000人の診療経験を通じ、現行医療の限界を認識。元氣で楽しい人生を歩むための戦略の重要性を感じる中、ストレスフリー療法と出会い、その効果に感銘を受ける。これを多くの人に広めるべく、2024年4月より銀座数寄屋橋クリニックでストレスフリー療法に特化した診療を行っている。

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白内障とは一体どんな病気なのか

白内障とは一体どんな病気なのか

「白内障」とは、加齢などのさまざまな原因により、目の「水晶体」が混濁する病気です。

水晶体は、目の中でカメラのレンズのような役割を担い、外からの光を集めてピントを合わせています。

白内障を発症すると、水晶体が濁ることで光が通りにくくなり、周囲がかすんで見えるなど、見え方に影響が出るのです。すりガラスを通して物を見るような状態をイメージすると分かりやすいかもしれません。

白内障の多くは加齢が原因で、早い人だと40歳前後で発症し、70歳代だと80%以上、80歳を過ぎるとほぼすべての人が罹患しています。白内障は老化現象の一種とも言えます。そのほか、外傷や糖尿病などの全身性疾患、紫外線への曝露、ステロイド剤の副作用などでも生じえます。

白内障になると現れる症状

白内障になると現れる症状

白内障では、水晶体が濁ることでさまざまな症状が現れます。以下のような症状があれば、早めに眼科を受診してください。

① 目がかすむ

水晶体が濁って光の透過性が下がることが原因です。

② 視力が低下する

水晶体の濁りが周囲から進行する場合は、初期のうちは視力にほとんど影響しません。濁りが中心部から進行する場合は、初期から視力低下を実感します。

③ 光をまぶしく感じる

水晶体が濁ると光がまっすぐ網膜に届かず、光の散乱が生じまぶしく感じるようになります。

④ ものが二重三重に見える

水晶体の濁った部分と透明な部分とでは、光の進行方向が異なり、複数の像が見えてしまいます。

⑤ 目が疲れやすい

ピントを合わせにくくなり、水晶体の厚みを変化させる筋肉を酷使するため、目が疲れやすくなります。

また、単純に見え方が悪くなって目に多大な負荷がかかることも、眼精疲労の原因です。

白内障の主な原因とは

白内障の主な原因とは

白内障の原因には、さまざまなものがあります。

最大の原因は加齢によるものです。それ以外の原因は、外傷や糖尿病などの全身性疾患が原因で発症するもの、紫外線への曝露、ステロイド剤によるものなどです。稀ですが、先天性のものもあります。

ここでは、白内障の主な原因を取り上げて、詳しく解説していきます。

加齢

白内障の90%以上が「加齢」によるものです。「加齢性白内障」と呼ばれます。

早い人では40代から発症し、60代では66~83%、80代以降ではほぼ100%の人で、初期症状が認められたというデータがあります。

長年の紫外線暴露などの外部刺激により、水晶体のタンパク質が酸化することなどが原因と考えられています。

加齢性白内障は、水晶体の周囲から濁りが生じ、徐々に中心に向かって進行するのが一般的です。初期の頃は自覚症状がほとんどない場合が多く、手術のタイミングが遅くなることもあります。

糖尿病

「糖尿病」の合併症として、白内障が引き起こされることがあります。これは「糖尿病性白内障」と呼ばれ、若年層でも発症率が高く、進行スピードがはやいことが特徴です。

糖尿病により血糖値のコントロールが不安定になると、糖アルコールの一種ソルビトールが水晶体の中に蓄積され、白内障の原因になると考えられているのです。

糖尿病は白内障以外にも、糖尿病網膜症という合併症のリスクも高いです。糖尿病の方は、眼科の定期的な受診をおすすめします。

紫外線

「紫外線」も、白内障を発症する原因のひとつです。

地上に届く紫外線には、UV-AとUV-Bがあり、白内障の原因となるのはUV-Bです。

UV-Bは、エネルギーが強く日焼けの主な原因で、肌細胞やDNAにダメージを与え、シミやシワ、炎症、皮膚がんの原因になります。また、活性酸素により水晶体のタンパク質を酸化させ、白内障を引き起こすとされています。UVカットのサングラス着用などの対策が必要です。

ちなみに、UV-Aは波長が長く、網膜に到達すると損傷を引き起こすことがあります。雲や窓ガラスも透過するので、曇りの日や日当たりの良い家の中でも注意が必要です。

ステロイド剤

「ステロイド剤」は、アトピー性皮膚炎やアレルギー疾患の治療など幅広い用途で使われている薬です。長期にわたって大量に使用すると「ステロイド白内障」を発症するリスクが高まると言われています。

ステロイド剤の副作用で白内障を発症するメカニズムは、十分には解明されていません。進行スピードがはやい「後嚢下白内障」の発症が多いことが特徴です。

ステロイド白内障は、点滴や飲み薬よりも、目薬や目への注射などでステロイド剤を使用したときの方が発症しやすいことがわかっています。目に使用している方は、定期的な検査をおすすめします。

先天性

生まれつき白内障の要因を持つ「先天性白内障」の主な原因は、以下のとおりです。

① 遺伝 

先天性白内障の25%は遺伝が原因とされ、家族歴があれば発症率が高まると考えられています。原因となる遺伝子は複数あります。また、染色体異常により発症するケースもあります。

② 胎内感染

母体内での風疹やトキソプラズマ、サイトメガロウイルスなどへの感染が原因です。

③ その他の疾患

ガラクトース血症などの代謝性疾患や、その他の全身疾患などと合併して発症することがあります。

白内障の治療法

白内障の治療法

白内障の治療法は、一般的に「薬物治療」と「手術」の2つです。

白内障の初期段階では進行抑制目的の薬物治療が選択され、進行した段階では視力回復目的の手術が選択されます。

また、近年は、薬や手術に頼らないアプローチとして、「ストレスフリー療法」も注目されています。

薬物治療

白内障の症状が日常生活に支障がない「初期段階」の場合は、点眼薬による「薬物治療」が基本です。これにより水晶体の濁りが改善するわけではなく、あくまで進行を抑えることが目的です。

使用される点眼薬は、主に以下の2種類があります。

① ピレノキシン製剤

アミノ酸の代謝異常で生成した「キノイド物質」が、水晶体のタンパク質を変性させることが白内障の原因とされています。ピレノキシンはキノイド物質のタンパク質への結合を競合的に阻害すると考えられています。

② グルタチオン製剤

白内障の進行により、水晶体内の抗酸化物質「グルタチオン」が減少します。それにより、酸化されて生じた不溶性タンパク質が増加することが白内障の原因とされています。点眼により減少したグルタチオンを補うことができると考えられています。

手術

白内障が進行し生活に支障がみられる場合は、「手術」が行われます。

具体的には、白濁した水晶体を取り除き、代わりに人工水晶体である「眼内レンズ」を挿入するという方法です。

一般的な「超音波乳化吸引術」と、最先端の「レーザー白内障手術」があります。

① 超音波乳化吸引術

一般的に点眼による局所麻酔で手術を行うため、痛みはほとんどなく、時間は10~30分程度です。

まず、2~3mm程度の切開創から器具を挿入し、水晶体を破砕・吸引します。そして、残した水晶体の膜の中に眼内レンズを挿入・固定します。

② レーザー白内障手術

基本的な流れは、超音波乳化吸引術と同じで、「切開」、「水晶体の破砕・吸引」、「眼内レンズの挿入・固定」です。コンピュータ制御のもとで、「角膜切開」・「前嚢切開」・「水晶体核分割」を行います。

この術式は、より精密で安全な手術が可能な点がメリットですが、自由診療なので費用が高いことがデメリットです。

ストレスフリー療法

白内障の「初期段階」では、「ストレスフリー療法」も効果が期待できます。

● ストレスフリー療法とは

「ストレスフリー療法」とは、身体の特定の6点に直径1cmの導子をつけ、遠赤外線を30~60分照射する温熱療法です。

これにより、「ストレスホルモンの低減」・「血流の大幅な増加」といった効果が確認されています。高血圧や糖尿病、白内障、認知症、不眠症、冷え症など、さまざまな病気や症状の改善例が報告されています。

● 白内障の治療にも期待

眼球の中には「房水」という体液が流れており、角膜や水晶体、硝子体などの組織に栄養を与える役割を担っています。「ストレスフリー療法」で、身体のすみずみまで血流を良くし、眼球中の房水の循環も高めることで、白内障の改善効果が期待できます。

日常生活において白内障を対策することが重要

日常生活において白内障を対策することが重要

日ごろから、白内障にならないような生活習慣を心がけることが重要です。

主な白内障の予防法には、以下のようなものがあります。

  • 紫外線対策をする
  • 糖尿病などの生活習慣病の予防・改善を心がける
  • 栄養バランスに配慮した食事をする
  • 禁煙をして飲酒量に気を付ける

白内障には、加齢のほかに生活習慣が影響することもあります。

タバコやお酒を減らし、適度な運動をする健康的なライフスタイルは、白内障の予防につながるのです。また、ブロッコリーやニンジンなど、ビタミンC・ベータカロチン・ルテインといった抗酸化成分が含まれる食品を積極的に摂取しましょう。

ほかに、紫外線などの外部刺激から目を守ることも有効です。

まとめ

白内障とは一体どんな病気なのか!気になる特徴について解説のまとめ

今回は、白内障について基本的な事項を網羅的に解説しました。

  1. 「白内障」とは、さまざまな原因で目の「水晶体」が濁る病気
  2. 症状は、「目のかすみ」・「視力低下」・「光がまぶしい」など
  3. 原因は、「加齢」・「糖尿病」・「紫外線」・「ステロイド剤」・「先天性」など
  4. 一般的な治療法は、初期段階では「薬物療法」、進行した段階では「手術」
  5. 初期段階では、血流改善効果のある「ストレスフリー療法」にも期待
  6. 予防のためには、食事や運動などの生活習慣改善が重要

この記事が、みなさまの白内障に対する理解の一助になれば幸いです。