パーキンソン病とは、神経細胞の変性による進行性の疾患で、初期症状の早期発見が重要。
パーキンソン病では、手足の震えや動作の遅れなどの症状が現れます。
このような見過ごされやすいサインを知ることで、生活の質を維持するポイントです。
この記事では、パーキンソン病の初期症状を理解し、適切な対応策を探るポイントをわかりやすくお伝えします。
監修者:佐藤琢紀(サトウ タクノリ)
銀座数寄屋橋クリニック院長
2004年東北大学医学部卒業後、国立国際医療センターで研修医として入職。2019年には国立国際医療研究センター国府台病院救急科診療科長に就任。18年間救急医として約36,000人の診療経験を通じ、現行医療の限界を認識。元氣で楽しい人生を歩むための戦略の重要性を感じる中、ストレスフリー療法と出会い、その効果に感銘を受ける。これを多くの人に広めるべく、2024年4月より銀座数寄屋橋クリニックでストレスフリー療法に特化した診療を行っている。
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パーキンソン病とは一体どんな病気なのか
パーキンソン病とは、中脳の黒質にあるドーパミンを作る神経細胞が減少することで発症する、神経変性疾患です。
パーキンソン病の主な症状は、手足の震え、動作の遅れ、筋肉のこわばり、姿勢保持の障害などで、徐々に進行していくという特徴があります。
また、非運動症状として便秘や嗅覚障害、抑うつも見られ、高齢者に多く見られる疾患のひとつとして有名。
現在、パーキンソン病を完治する治療法はありませんが、薬物療法やリハビリテーションにより症状の進行を遅らせることが可能です。
パーキンソン病の初期症状
パーキンソン病は進行性の神経変性疾患です。
手足の震え、動作の遅れ、筋肉のこわばり、姿勢の障害など、少しずつ色々な症状が現れるといわれています。
ここからは、パーキンソン病の初期症状について紹介していきます。
姿勢の変化
パーキンソン病では、筋肉のこわばりや姿勢反射の障害によって、前傾姿勢や体のバランスが崩れていくことがあります。
これにより、立つ・歩くといった日常動作が不安定になるため、転倒リスクが高いです。
また、体幹の筋力低下や重心のコントロールの難しさが原因。
腰が曲がる「カンプトコルミア」や側方に傾く「ピサ症候群」などの姿勢異常も見られます。
これらの進行を穏やかにするためには、定期的なリハビリを続けることが大切です。
疲労感
パーキンソン病に関連する疲労感は、身体的・精神的な要因が絡み合って生じるものです。
筋肉の硬直や動作の遅れが身体的な疲労を引き起こし、同時にドーパミン不足や睡眠障害、不安感が精神的な疲労を増幅させます。
特に、休息を取っても疲労が回復しにくい「慢性疲労」に近い状態になることがあり、日常生活にも大きな影響を及ぼします。
このため、適度な運動や栄養管理、十分な睡眠、さらには心理的サポートが効果的とされています。
動作緩慢
パーキンソン病における動作緩慢(ブレイディキネジア)は、体の動きが遅く、滑らかに行えなくなる症状です。
動作を開始するのに時間がかかったり、一連の動作が中断したりすることがあります。
例えば、椅子に座る動作や歩き始める動作が非常にゆっくりになり、小刻みな歩行が目立つ場合も。
また、まばたきの頻度が減少し、表情が乏しくなる「仮面様顔貌」が伴うこともあります。
この症状は日常生活に大きな影響を与えるため、リハビリや薬物療法が重要です。
振戦
パーキンソン病における振戦(しんせん)は、意思に反して筋肉が震える症状をいいます。
特に安静時に手や足が震える「安静時振戦」が特徴的。
これはパーキンソン病の初期症状としてよく見られ、片側の手や足から始まり、進行に伴って両側に広がることがあります。
ストレスや疲労によって振戦が悪化することがあり、日常生活に大きな支障をきたす場合もあるため、適切な治療やリハビリを組み合わせることで、症状の理解や緩和が期待できます。
硬直
パーキンソン病における硬直(固縮)は、筋肉がこわばり、関節の動作がぎこちなくなる症状です。
特に筋肉の収縮と弛緩のバランスが崩れることで、関節を動かす際に抵抗が生じます。
この硬直は、歩行や立ち上がり、表情をつくる筋肉にも影響を与えるため、「仮面様顔貌」と呼ばれる表情の乏しさを引き起こすこともあります。
硬直が進行すると、日常生活が困難になり、転倒リスクも高まり危険があることから、適切なリハビリや薬物療法による管理が重要とされています。
嗅覚の低下
パーキンソン病では、嗅覚の低下が初期症状として見られることが多くあります。
この嗅覚障害は、運動症状が現れる数年前から始まることが多いと言われており、嗅球や大脳の一部での神経変性が原因とされています。
においを感じ取りにくくなる、あるいはにおいを識別する能力が低下することで、食欲不振や生活の質の低下につながることも。
特に嗅覚の低下は診断の手がかりとして有効であり、早期発見の重要な指標と考えられています。
睡眠障害
パーキンソン病における睡眠障害は、運動症状や自律神経の変化、薬剤の副作用が原因となり、さまざまな形で現れます。
パーキンソン病における睡眠障害は「不眠症」のほか、「レム睡眠行動異常症」や「睡眠時無呼吸症候群」、「日中の強い眠気」が含まれることがあります。
これらの症状は患者の日常生活に影響を及ぼし、生活の質を低下させる要因となるため、睡眠障害が症状として見られた場合は、治療薬の調整や適切な睡眠環境の整備が重要です。
また、これらの症状の改善には運動療法や生活習慣の見直しも役立ちます。
自律神経症状
パーキンソン病では、自律神経障害が非運動症状として現れることがあります。
具体的には「便秘」「頻尿」「起立性低血圧」「多汗症」「唾液の分泌異常」などが挙げられます。
これらの症状は、交感神経と副交感神経のバランスが乱れることで発生し、患者の生活の質に大きな影響を及ぼします。
例えば、「立ちくらみによる転倒リスクの増加」や、「体温調節の困難」などが日常生活をさらに複雑にすることがあります。
対策には、生活リズムの整備、適度な運動、栄養管理、そして医師の指導による治療が重要となります。
精神的な変化
パーキンソン病では、精神的な変化として「抑うつ」や「不安感」がよく見られます。
これらの症状は、ドーパミン不足や身体的な制約によるストレスが原因で起こることがあります。
また、感情のコントロールが難しくなり、突然怒りっぽくなったり涙が出たりすることも特徴的です。
これらの精神的な変化は、患者の日常生活に影響を及ぼし、社会的孤立感を強めることがあります。
適切な薬物療法や心理カウンセリング、家族や医療スタッフの支援が症状改善にとって重要です。
パーキンソン病の初期症状を把握する際のポイント
パーキンソン病をチェックする際、運動症状と非運動症状に注目します。
運動症状としては、手足の震え(安静時振戦)、動作の遅れ(動作緩慢)、筋肉のこわばり(固縮)、姿勢の不安定さが含まれます。
非運動症状では、嗅覚障害(匂いを感じにくい)、便秘や睡眠障害、不安感や抑うつといった精神的な変化が現れることも。
これらの症状が複数見られる場合は、専門医の診断を受けることをおすすめします。
パーキンソン病の治療をサポートするストレスフリー療法
パーキンソン病には運動症状や非運動症状など、多くの症状が現れる疾患のため、心身を癒やしたりコンディションを整えることも重要です。
その中でも、近頃パーキンソン病患者の治療をサポートとして注目されている治療が、ストレスフリー療法。
ストレスフリー療法とは、身体の特定の6点に直径1cmの導子をつけ、遠赤外線を30分~60分照射する温熱療法です。
心身のリラクゼーションを促し体のコンディションを整える効果が期待できます。
この方法は、ドーパミン不足や筋肉硬直による症状を和らげると同時に、血流改善やストレス軽減を目指します。
薬物療法や運動療法とストレスフリー療法を組み合わせることで、パーキンソン病の治療と改善に役立つことが期待できます。
まとめ
パーキンソン病は、脳内のドーパミン欠乏により運動障害や非運動症状を引き起こす進行性の神経疾患です。
主な症状として、手足の震え(安静時振戦)や筋肉のこわばり(固縮)が挙げられ、日常生活に影響を及ぼします。
パーキンソン病の改善や緩和には初期症状について理解し、早期発見と早期の治療が大切です。
パーキンソン病の治療には、運動療法や薬物療法と合わせて、心身のリラックスや体のコンディションを整え、不安感や孤独感を軽減することも大切です。
その中でも近頃、パーキンソン病の治療をサポートする治療法として、ストレスフリー療法が注目されています。
近年では、色々な治療法や症状の緩和方法も確立されてきていますので、パーキンソン病になっても過度に不安や悲観的にならず、うまく治療法を組み合わせて生活の質を維持して自分らしい人生を歩み続けましょう。