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コラム

パーキンソン病の治療薬に一体どのようなものがあるかについて解説!

2025年09月07日

一度発症すると根治は難しいパーキンソン病ですが、薬で症状を抑えられます。

これまで開発された治療薬はさまざまあり、医師が患者さんの年齢や状態を見て処方しています。

パーキンソン病の治療薬はそれぞれどのような効能があるのか紹介します。

監修者 佐藤琢紀(サトウ タクノリ)

監修者:佐藤琢紀(サトウ タクノリ)

銀座数寄屋橋クリニック院長

2004年東北大学医学部卒業後、国立国際医療センターで研修医として入職。2019年には国立国際医療研究センター国府台病院救急科診療科長に就任。18年間救急医として約36,000人の診療経験を通じ、現行医療の限界を認識。元氣で楽しい人生を歩むための戦略の重要性を感じる中、ストレスフリー療法と出会い、その効果に感銘を受ける。これを多くの人に広めるべく、2024年4月より銀座数寄屋橋クリニックでストレスフリー療法に特化した診療を行っている。

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パーキンソン病とは一体どんな病気なのか

パーキンソン病は脳から放出されるドーパミンが減少して、運動機能や精神面に影響が出る病気です。

主に50歳以上の中高年にみられる病気で、手足が思うように動かずバランスを崩したり、ふるえたりします。

最終的に寝たきりになる場合もあり、一度発症すると完治は難しく難病指定されている病気です。

何年もかけてゆっくりと進行するのが特徴で、まだドーパミンが減少する原因ははっきりと解明されていません。

パーキンソン病の治療薬一覧

パーキンソン病の治療に用いられる薬はさまざま開発されています。

それぞれアプローチ方法が異なり、医師が症状に合わせて組み合わせ処方していますが、どのような効能があるのか解説します。

L-ドパ

エルドパ、レボドパなどと呼ばれるL-ドパはパーキンソン病の治療薬として標準的に用いられる薬です。

パーキンソン病はドーパミンの欠乏が原因と考えられていますが、ドーパミンの前駆体物質であるL-ドパは、脳内に移行したあとドーパミンへ変化してドーパミン量を増やします。

筋肉のこわばりやふるえの改善が認められていますが、10年ほど服用すると体が勝手に動いてしまうL-ドーパ誘発性ジスキネジアを発症する点に注意が必要です。

ドパミンアゴニスト

ドパミンアゴニストはドーパミン受容体に直接作用して、ドーパミンの生成を促す薬です。

パーキンソン病へのアプローチ方法はL-ドパと似ていますが、違いはジスキネジアを発症しづらい点です。しかし、L-ドパよりも効果が出るのに時間がかかり、吐き気や幻覚、妄想などの副作用の可能性があります。

若い人やジスキネジアなどの運動障害が起きやすい人はドパミンアゴニストでの治療を検討します。

レボドパ賦活剤

レボドパ賦活剤はL-ドパと併用して処方される薬です。

L-ドパは脳内に以降後ドーパミンへ変化しますが、レボドパ賦活剤はドーパミンの放出を手助けする役割があります。

もともとてんかんの治療薬に用いられていた薬で、作用の仕組みは完全に解明されていませんが、L-ドパの作用を増強させたり、脳内でドーパミンを分解するMAO酵素を阻害したりして、ドーパミン量の低下を抑える作用があると考えられています。

カテコール-O-メチル基転移酵素阻害薬

カテコール-O-メチル基転移酵素阻害薬はドーパミンの元となるL-ドパを分解してしまう酵素(COMT)の働きを抑える薬です。

L-ドパは吸収されたあと、血液に入り脳内まで運ばれます。

カテコール-O-メチル基転移酵素は血液に入ったL-ドパを分解する酵素で、カテコール-O-メチル基転移酵素阻害薬で分解を防ぎ、L-ドパが脳内に届くようサポートします。

効能時間は短く、L-ドパと一緒に服用される薬です。

モノアミン酸化酵素B阻害薬

モノアミン酸化酵素B阻害薬は脳内でドーパミンを分解する酵素(MAO-B)の働きを抑える薬です。

精神面に関係するノルエピネフリンやセロトニンなど他の神経伝達物資の分解も抑制するので、服薬すると意欲が出て気分が明るくなる傾向があります。

L-ドパとの併用により効果は持続しますが、ジスキネジアなどの副作用が出やすくなる点に注意が必要です。

作用時間が長く、1日に1回か2回の服用で効果を発揮します。

ノルアドレナリン補充薬

パーキンソン病を発症するとドーパミンだけでなくノルアドレナリンも減少します。

ノルアドレナリン補充薬は減少したノルアドレナリンを補う薬です。

ノルアドレナリンは脳内で情報を伝達する役割を果たす神経伝達物質で、ホルモンとしても作用しています。

ノルアドレナリンが減少するとやる気や集中力が低下してしまい、精神面に影響が出てきます。

ノルアドレナリン補充薬の代表的な薬ドロキシドパは、日本で開発された薬です。

アデノシンA2A受容体拮抗薬

アデノシンA2A受容体拮抗薬はドーパミンの減少によって相対的に作用が強まったアデノシンを阻害する薬です。

神経伝達物質の1つであるアデノシンが相対的に増えると、体の動きを抑える物質が放出されて身体機能が低下します。

アデノシンA2A受容体拮抗薬は身体機能の低下を促すアデノシンの作用を阻害し、運動機能の改善を図る薬です。

ウェアリングオフの改善も期待され、L-ドパと一緒に服用されます。

抗コリン薬

抗コリン薬はパーキンソン病の治療薬として最初に使用された薬です。

パーキンソン病を発症し、ドーパミンが減少すると相対的にアセチルコリンの量が増えます。

アセチルコリンは筋肉の収縮を促す神経伝達物質の1つですが、体内で増えすぎると筋肉のこわばりやふるえの原因になります。

抗コリン薬は相対的に作用が強まってしまったアセチルコリンの働きを抑える効能があります。しかし、高齢者が抗コリン薬を飲むと物忘れや幻覚、妄想など認知機能に障害が出るので注意が必要です。

ドパミン遊離促進薬

ドパミン遊離促進薬はA型インフルエンザの治療薬にも用いられています。

ドパミン遊離促進薬は脳内にある神経細胞からのドーパミン放出やドーパミン合成を促す作用がある薬です。

脳内のドーパミンによる神経伝達力を強め、パーキンソン病の症状改善を図ります。

他にもやる気や集中力の改善や、ジスキネジアを抑制する効果が知られています。しかし、幻覚や妄想の副作用が出やすいので、注意が必要な薬です。

薬物療法以外のパーキンソン病の治療法

パーキンソン病の治療法は薬物療法がメインですが、L-ドパの長期服用は副作用もあり、症状がでた場合他の治療法も検討されます。

薬物療法以外にどのような治療法があるのか紹介します。

手術

脳深部刺激療法(DBS)は脳の骨に小さな穴をあけ、電極を埋め込みます。

電気刺激を与え、パーキンソン病で崩れた神経回路のバランスを取り戻す手法です。

パーキンソン病の根本改善にはなりませんが、ジスキネジアを発症した人に有効な方法です。

DBSは特殊な技術を要するため限られた病院でのみ治療を受けられます。

DBSは手術合併症が少ない、保険適用で受けられるなどメリットもありますが、リスクをともなうため主治医と相談してから受けることが大切です。

ストレスフリー療法

ストレスフリー療法とは、身体の特定の6点に直径1cmの導子をつけ、遠赤外線を30〜60分照射する温熱療法です。

血流の向上により、冷え性や睡眠障害の改善が期待されています。

パーキンソン病はドーパミンの欠乏が原因と考えられていますが、症状が改善した例が複数あり、脳への血流改善によってドーパミン生成が促されている可能性が考えられます。

またストレスフリー療法はドーパミン減少の原因にもなりえるストレスホルモンのコルチゾールを低下させる効果があり、パーキンソン病の予防にも役立つと考えられています。

まとめ

パーキンソン病の治療には薬物療法が一般的ですが、長期服用で副作用が出る可能性が高く、医師と相談しながら服用量や頻度を変えていく必要があります。

手術も治療法の1つですがリスクが高く、比べてストレスフリー療法は副作用も少なく、パーキンソン病以外の改善が期待でき、注目されている治療法です。