「若年性パーキンソン病とは？」「通常のパーキンソン病と何が違う？」「原因は？」といった疑問をお持ちの方もいると思います。

若年性パーキンソン病は、40歳以下で発症するパーキンソン病です。

発症すると、仕事や家庭に大きな影響を与えますが、患者数が少なくインターネットなどで得られる情報は多くありません。

この記事では、若年性パーキンソン病の概要や通常のパーキンソン病との違い、主な症状、原因、治療法について詳しく解説します。

若年性パーキンソン病について、基本的な事項から知りたい方におすすめの内容です。

若年性パーキンソン病とは一体どんな病気なのか

• 

「若年性パーキンソン病」とは、40歳以下で診断されるパーキンソン病の一形態です。

パーキンソン病は50歳以上で発症することが多く、高齢になるほど発症率が高くなります。

若年性パーキンソン病は、若年層に発症するレアなケースです。

この病気は、脳内の神経伝達物質ドパミンを産生する神経細胞が減少することで発症します。

ドパミンは主に運動の調節を司るため、その不足は身体のさまざまな運動障害を引き起こすのです。

若年性パーキンソン病と成人期以降のパーキンソン病の違い

• 

若年性パーキンソン病と通常のパーキンソン病には、いくつかの点で違いがあります。

主な違いは以下のとおりです。

・病気の進行がゆるやか

・薬（レボドパ）がよく効き、薬の使用量は少なくてすむ

・薬による「ウェアリングオフ（薬効時間が短くなる）」や「ジスキネジア（不随意運動）」が出やすい

・初期症状としては無動（動作緩慢）に関連した歩行障害が多く、振戦（手足の震え）は少ない

・もの忘れなどの認知機能障害が少ない

若年性パーキンソン病の症状

• 

若年性パーキンソン病の症状は、基本的には通常のパーキンソン病と同じです。

すなわち、「振戦」「筋固縮」「無動」「姿勢反射障害」の4つが代表的な運動症状となります。

これらの症状は、病気が進行するにつれて徐々に悪化しますが、早期発見と適切な治療により症状の進行を遅らせることが可能です。

振戦

「振戦（安静時振戦）」とは、何もしないでじっとしているときに、手などが小刻みに震える症状です。

手の場合は、いすに座って膝に置いているときや歩いているときなど力を入れていないときに起こり、動かすと震えは小さくなります。

一般的に、以下のような特徴がみられます。

・通常は片方の手で起こる

・しばしば、親指と人差し指をこすり合わせる動作がみられる（丸薬丸め運動）

・手を意図的に動かしているときにはあまり起こらない

・睡眠中は震えが治まるが、目が覚めると震えが始まる

・ストレスや疲労によって悪化することがある

・進行すると、もう一方の手や足にも起こるようになる

筋固縮

「筋固縮（筋強剛）」とは、筋肉がこわばり、身体がスムーズに動かなくなる症状です。

パーキンソン病の筋固縮は自分では気づきにくいのですが、他者が患者の腕や足を動かそうとすると、関節がカクカクするような抵抗が感じられます。

肘や膝、手首などの関節に、持続的なこわばりや抵抗を認める筋固縮が「鉛管様固縮」です。

それに対し、他者が関節の曲げ伸ばしを行った際に、歯車のような抵抗を認める筋固縮を「歯車様固縮」といいます。

筋固縮が進行するとスムーズに体を動かせず、歩行や運動も困難になり、顔面の筋肉にも影響が及ぶのです。

無動

「無動（寡動・動作緩慢）」とは、動きが遅くなり、同時に細かい動作がしにくくなる症状です。

動きが遅く小さくなり、動作の開始が困難になります。

そのため、患者はあまり動かなくなって、関節が硬くなり筋力が低下するため、動くことがますます難しくなっていくのです。

これに関連した症状としては、以下のようなものがあります。

・話し方に抑揚がなくなり声が小さくなる

・寝返りを打てなくなる

・歩くときに最初の一歩が出にくくなる（すくみ足）

・書く文字が小さくなる（小字症）

・飲食物を飲み込みにくくなる（嚥下障害）

姿勢反射障害

「姿勢反射障害（姿勢保持障害）」とは、バランスが悪くなり転倒しやすくなる症状です。この症状は、パーキンソン病の初期には見られず、進行してから現れます。

一般的に、以下のような特徴がみられます。高齢者の場合には、転倒により骨折しそのまま寝たきりになることもあるため、注意が必要です。

・姿勢が前かがみになる

・体のバランスがとりにくくなり、転びやすくなる

・歩いていて止まれなくなる、方向転換をするのが難しい

・首が下がる、体が斜めに傾く

若年性パーキンソン病の原因

• 

若年性パーキンソン病の発症に関与していると考えられているのが、遺伝的要因や環境要因です。

特定の遺伝子の変異が若年性パーキンソン病の発症リスクを高め、化学物質への曝露や不規則な生活習慣などもリスクを高める可能性があります。

以下、それぞれについて解説します。

遺伝的要因

若年性パーキンソン病では、遺伝的要因が発症に関与している場合が多いとされます。

特に家族歴がある場合は、注意が必要です。

発症に関連する遺伝子の例を挙げると、以下のとおりです。

①    PARK2

若年性発症の代表的な遺伝子で、家族性での報告多数。発症年齢が非常に若いことが多く、進行が緩やかな傾向。

②    PINK1

ミトコンドリア機能に関与。PARK2と関連が深く同時変異の報告あり。

③    LRRK2

神経の炎症反応に関与。高齢者の発症にも関係し、一部若年でも見られる。

環境要因

若年性パーキンソン病の発症には、遺伝的要因だけでなく環境要因も関わっている場合があります。

環境要因の例を挙げると以下のとおりです。

化学物質の扱いには気を付ける、生活習慣を見直すなど、予防を心がけましょう。

① 農薬や化学物質への長期間の曝露

農薬や溶剤などに含まれる神経毒性を持つ物質が、ドパミン神経細胞を傷害する

② 頭部外傷

過去の頭部外傷歴が発症リスクを高める

③ ストレス・生活習慣

過度なストレスや食生活の乱れ、喫煙、過度な飲酒、運動不足、睡眠不足などが、神経系に影響を与える

若年性パーキンソン病の治療法

• 

若年性パーキンソン病の治療は、通常のパーキンソン病と同様に「薬物治療」と「リハビリ」の組み合わせが基本です。

しかし、薬を一定期間以上服用しジスキネジアがみられるようになった場合などには、「外科手術」が行われることがあります。

ここでは、治療法で一般的な「薬物治療」や「外科手術」、「リハビリ」、さらに若年性パーキンソン病の症状改善効果が期待できる「ストレスフリー療法」について解説します。

薬物治療

若年性パーキンソン病の原因は脳のドパミン欠乏なので、治療は薬によりドパミンの働きを補うことが主体です。

以下に代表的な2剤を紹介します。

症状や進行度に合わせて、これらの薬や他の薬を組み合わせて使います。

① レボドパ（L-ドパ）

脳内でドパミンに変化して作用します。治療効果が高く、速効性に優れているのが特徴ですが、作用時間が短いことが欠点です。

② ドパミンアゴニスト

ドパミンに似た作用をもつ薬です。

治療効果がやや弱いのですがゆっくり効くので、1日1回の服用で安定した効果を得られます。

レボドパに比べ、悪心や低血圧などの副作用が出やすいのが欠点です。

外科手術

薬物治療の副作用が強かったり、症状のコントロールが難しかったりする場合には、外科手術が選択されることがあります。

現在主流となっている「脳深部刺激療法」は、脳の奥のドパミンに関係する部位に電極を埋め込み、弱い電気刺激を与えることで、症状を抑える治療法です。

特に、「視床下核刺激術」が多く行われます。

手術により若年性パーキンソン病が完治することはありません。

症状をコントロールし、リハビリも行いながら、生活の質を向上させることが目的です。

リハビリ

パーキンソン病のリハビリは、薬物治療と組み合わせることで、運動機能の維持・改善、日常生活動作の向上、そして生活の質を高めることが目的です。

具体的には、筋力トレーニングやストレッチ、歩行練習、バランス訓練、嚥下訓練、構音訓練など、さまざまな種類のリハビリが行われます。

また、日常生活の中で意識的に体を動かすことも重要です。

パーキンソン病において、リハビリは症状の進行を遅らせ、身体の機能維持や日常生活動作を行いやすくするために非常に重要とされています。

理学療法士や作業療法士、言語聴覚士といったリハビリ専門職の指導のもとで、それぞれの患者に合ったプログラムに取り組むことが大切です。

ストレスフリー療法

「ストレスフリー療法」とは、身体の特定の6点に直径1cmの導子をつけ、遠赤外線を30～60分照射する温熱療法です。

これにより、全身の血流や自律神経を整え、高血圧や糖尿病、認知症、不眠症、冷え症、白内障など、さまざまな病気の予防・改善効果が期待できるのです。

また、ストレスフリー療法により、パーキンソン病の症状が大きく改善した実例が報告されています。

その理由として考えられるのは、「成長ホルモンの分泌亢進」と、新発見の体表点への熱刺激による「脳への大幅な血流増加」により、中脳の黒質が修復再生し、ドパミンの分泌が増えたことです。

若年性パーキンソン病に対する効果も期待できます。

当療法に特化した専門クリニックとして信頼されているのが、「銀座数寄屋橋クリニック」です。
公式サイトにてさらに詳しい情報をご覧いただけます。

まとめ

今回は、若年性パーキンソン病について基本的な内容を網羅的に解説しました。

若年性パーキンソン病は、40歳以下で発症するパーキンソン病です。

通常のパーキンソン病と比べると、症状の現れ方や薬の効き方などに違いがあります。

代表的な症状は、「振戦」「筋固縮」「無動」「姿勢反射障害」です。

発症には、遺伝的要因や環境要因が関与しているとされています。

治療法は、薬物療法とリハビリがメインで、場合によっては手術を行います。

また、症状を改善する効果が期待できる「ストレスフリー療法」もあります。

この記事が、若年性パーキンソン病についての理解の一助になれば幸いです。